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3. スキル

「はぁ…はぁ…」


 息絶えたゴブリンから少し離れた地面に座ると先程の戦いが脳内に蘇る。


(組み付かれたとき、殺されると思った…。)


 現代の平和なこの世界で生活をする圭祐にとって、殺しなど無縁なものである。さらに、見たことも無い生物であることも重なり、精神的な疲労が身体に重くのしかかる。圭祐はしばらく動くことが出来なくなっていた。

 漸く落ち着いた圭祐は先程頭に響いた言葉を思い出す。


(レベルアップって言っていたな…。レベルなんてあるならステータスなんかもあるのか…)


 そう考えた圭祐の前にウインドウが表示される。


 田中圭祐 ヒューマン ♂

 Lv 2


 〔ステータス〕


 HP 19/21 MP 15/15

 ATK 11+3 DEF 10+4

 AGI 13 MAG 9


 TEC 1


 所持スキル

 〔EXスキル〕

【スキルポイント】(-)【略奪の魔眼】(Lv1)

 〔Nスキル〕

【鑑定】(Lv1)


 表示されたステータスウインドウには、数値化された情報が羅列されていた。


(なるほど、ほんとゲームみたいだな…

 なになに、ATK DEFは攻撃力、守備力だな。ステータスが10前後っていうのはレベル的にまだ弱いんだろうな…。AGI…スピードだな。MAGはゲーム的に考えるとマジック。魔法だな…魔法なんてあんのか!?)


 ステータスを見て元気を取り戻した圭祐は立ち上がり、壁に向かって魔法を使おうとする。


「ファイア!ファイア!!ファイアー!!…火!!ファイアパンチ!いってぇっ!」


 壁を殴りつけた圭祐だが、魔法が発動せずただ拳を痛めたのであった。


  …………………


 痛めた手をさする圭祐は出口へと向かう。


(最後のTECは恐らくテクニックだろう。今まで戦ったことなんてなかったし、戦闘技術なんてないもんなあ。)


 1つだけ数値の低かったTECについて考える圭祐。


 実はステータスは2種類存在する。1つがATK DEF AGI MAGのレベルアップにより成長する基本ステータス。

 そして圭祐のTECなどレベルアップではなく戦いや、訓練により成長する研鑽ステータスとがある。

 基本ステータスはレベルアップにより成長するが、ほかの要素、運動や筋トレをすることでは成長することはない。反対に研鑽ステータスはレベルアップだけでは成長することはない。戦いの経験や日頃の研鑽にて成長するステータスである。



「そういえば、新しいスキルが入ってたな。【鑑定】」


 ダンジョンの壁へと【鑑定】をすると、


 〔ダンジョンの壁 レア度- 〕


 と表示される。

 続いて手に持つナタを鑑定すると、


 〔鉄のナタ レア度F〕

  鉄で出来た剣鉈

  ATK+3


 と表示された。


(まあ、予想通りものを鑑定するスキルなんだな。

 そうだ!これでスキルを鑑定すると使い方がわかるんじゃないか?)


 圭祐はスキルウインドウを開き、【スキルポイント】を鑑定する。


 〔EXスキル 【スキルポイント】 レア度 表示不可〕

 スキルポイントを使用し、スキルを成長させることが出来る。


(これも予想通りの結果だな。レア度が分からないのは何故だ?鑑定のレベルが低いせいか?まあいいけど。)


 続いて【略奪の魔眼】を鑑定する。


 〔EXスキル【略奪の魔眼】 レア度 表示不可〕

 魔眼を使用することで、相手のスキルポイントを略奪することが出来る。略奪にかかる時間は相手の能力値に依存する。 最高略奪可能値 所持ポイントの1/10まで(小数点以下切り上げとする。)


(なるほど、このスキルは相手のスキルポイントを奪うことが出来るスキルだったんだな。…待てよ…奪ったスキルポイントを使って、さらにスキルのレベルを上げていけば戦わなくても強くなるんじゃね?!)


 そう考えた圭祐は、出口へと向けた足を止め、再びダンジョンの奥へと進みだすのであった。



(いたっ!ゴブリンだ!)


 影に隠れる圭祐の視線の先にはゴブリンがいた。


(とりあえず【鑑定】!)


 〔ゴブリン Lv1〕rank G

 緑の体を持つ小柄な亜人。知能はほとんどなく好戦的。ダンジョンでは最弱のモンスターのうちのひとつ。


 と表示された。


(さ、最弱…こいつにさっきはあんなにビビってしまってたのかよ…今は倒すより、【略奪】だ!)


【略奪の魔眼】を使用し、10秒程すると頭にスキルポイントを取得したと声がした。


(1/10までしか奪えない今は、これ以上スキルポイントを奪うことは出来ないな。よし、次に行こう。)


 バレないようにその場を離れ、次のゴブリンを探す。

 そして、次のゴブリンを見つけると【略奪の魔眼】を発動し、スキルポイントを略奪する。そして次のゴブリンを探す。

 そうして3時間ほどすると、


「【スキルポイント】」


(EXスキル)

【スキルポイント】 Lv-

【略奪の魔眼】 Lv1

 次のレベルに必要なポイント 4

(Nスキル)

【鑑定】 Lv1

 次のレベルに必要なポイント 1


 所持スキルポイント 残16


 と表示された。あのあと圭祐はさらに14体のゴブリンから略奪を行っていた。


(さーて、そろそろスキルのレベルでも上げるかな〜!

 あぁ!ドキドキするなあ!)


 圭祐はスキルウインドウを操作する。すると。


(EXスキル)

【スキルポイント】 Lv-

【略奪の魔眼】 Lv2

 次のレベルに必要なポイント 10

(Nスキル)

【鑑定】 Lv1

 次のレベルに必要なポイント 1


 所持スキルポイント 残12


 《スキル【略奪の魔眼】のレベルが上がりました。》


(お!上がったぞ!まだレベルを上げれるな、上げれるだけ上げておくか!)


(EXスキル)

【スキルポイント】 Lv-

【略奪の魔眼】 Lv3

 次のレベルに必要なポイント 20

(Nスキル)

【鑑定】 Lv2

 次のレベルに必要なポイント 2


 所持スキルポイント 残1


 となった。

【鑑定】を使用するも、表示には変化が見られなかったので、実際に使うつもりで再びゴブリンを探し出した。


(いたぞ!【略奪の魔眼】!)


 ゴブリンを見つけた圭祐は陰に隠れ【略奪の魔眼】を使用する。

 すると今までは10秒掛かっていた略奪が8秒でスキルポイントを獲得することが出来た。


(なるほどな、1Lvにつき1秒ずつ早くなって行くのか。レベル10までなったら1秒で奪えるって事じゃないか!すごいぞ!…だけど、レベルが上がる度に必要なポイント数が倍になっていくんだよな…。初めは5で、次は10。それから20 40 80 160 320 640 1280!?!? 、いやでもまてよ、今日1日で20くらいポイントを稼げている訳だから…、64日で最後まで行けるわけか!!いや待てよ!どんどんポイントの取得も早くなる訳だから、すぐになれるんじゃね!?)


 楽観的な圭祐であった。


 ヤツを見付けたのは、出口へと帰っている時のことであった。

 普通のゴブリンと比べ、一回りほど大きく、そして色が黒みがかった青の体躯を持つ。そして、そのゴブリンは手にショートソードを持っていた。

 直ぐに今まで通り陰に隠れ鑑定をかける。


 〔ゴブリン(ユニーク個体) Lv 8〕rank E

 緑の体を持つ小柄な亜人のユニーク個体。強さはは通常種とは大きく異なる。好戦的な性格。


(な、なんだあいつ…!見つかったら危なそうだな…!)


 見つかるな…と心の中で祈り、ゴブリンが過ぎ去るのを待つ。すると突然こちらを睨み付けるゴブリン。(見つかったか…!)とドキドキするもしばらく睨みつけた後、違う道へと進んで行く。


 しばらくして安心した圭祐が物陰から出ると背後から「グギャッ」と声がした。驚き振り返るとそこに居たのは通常のゴブリンであった。安心し、襲いかかって来たゴブリンをサイドステップで躱す。躱されたことに驚いたゴブリンだったが、すぐに再び掴みかかろうとしてきた。圭祐はそれも躱し、さらに躱しざまに手に持ったナタでゴブリンを斬りつける。斬られ苦しむゴブリンの胸に蹴りを入れ、倒れたゴブリンの心臓を剣鉈で一突きする。

 《ゴブリンを討伐しました。》


 と声が聞こえ、安心して立ち上がったその時。

 背後から「ゴギャッ」と声がした。

 振り返るとそこには先程の青いゴブリンが立っていた。


(嘘だろっ!?戦闘の音に気付いて戻ってきたのか!?)


 ナタを構え、腰を落とす圭祐。


(大丈夫。同じゴブリンだ…。落ち着いて戦えば何とかなる…。)


 そう思うことで己を落ち着ける。

 ゴブリンは「ゴギャ」と声を上げ圭祐を観察する。

 圭祐はゆっくりと近付く。


(倒すことを考えるな…。足を切り付けそして逃げる)


 じりじりと近付く圭祐をじっと見ていたゴブリンだったが、突然腰を下げると圭祐に向かって走り、そして斬り付けてきた。あまりの速さに着いていけず、致命傷は免れたものの、肩を浅く斬られた。


(っ!痛えっ!速すぎて着いていけなかったっ!!

 ヤバい!ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!!!!)


 ショートソードに付いた血を見るゴブリン。そしてこちらを見て「ゴギャァ」とニヤつく。


(ヤ、ヤバい!!どうする!!痛ってえ……殺す!!!)


 パニックになり正気を失った圭祐はゴブリンへと走る。


「うわぁぁぁ!!!っらぁっ!!」


 走って行き、ナタをゴブリンに向け斬りつけるが、軽く避けられ、さらに体制を崩した圭祐にショートソードを振り抜く。振り抜かれたショートソードは圭祐の左腕を切り落とした。


「アアアァァァァァ!!!痛ってえええええ!!!!死ねクソがァ!!!」


 振り返り、再び斬りかかった圭祐のナタを避け、再び斬りつける。さらに振り返った圭祐の胸を蹴り、倒れた圭祐の胸にショートソードを突き刺した。


「っ!!…あ……あぁ…」

(さっきのゴブリンにした攻撃をそのまま返された…!)


 意識が遠のく圭祐の頭には


 《ダンジョンの1階にて死亡しました。》《ダンジョンの1階にて死亡されましたのでリバイブを発動します。》《初めてのリバイブを確認。リバイブボーナスを与えます。》《スキル【分身】を取得しました。》

 《ダンジョンの外へ転送されます。》

 と声がした。

時間がある時に書き進めています。

ぬるっと更新していきたいと思います。


2/8 鑑定結果を編集しました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] お疲れ様です。なかなか面白そうな気がするので?しばらく追っかけてみたいと思います。 [気になる点] 鉈で心臓を突くのは難しいんじゃないかなと。一般的な鉈には切っ先がないし。剣鉈?
2020/02/17 14:27 退会済み
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