《熱田ダンジョン》
そのダンジョンは神宮に突如出現した。
日中の熱田神宮は多くの観光客で賑わう。
そんな熱田神宮に現れたのだ、当時は大混乱が起きたであろう。
圭祐たちのシルバーランクへの昇格試験はそんな熱田神宮に現れたダンジョンの調査であった。
3箇所に分けられ昇格試験を受けることとなった受験者たち。
《熱田ダンジョン》の調査に割り当てられたのは圭祐たち含め4パーティである。
現在はそのダンジョンへ向けて走るマイクロバスの中で、話をしていた。
「へえ〜、3人は試験の前からしりあいだったんだ?」
「3人っていうか、わたしと遠藤さんがそれぞれ圭祐と知り合いだったんだよね。」
「すごーい!超ラッキーじゃん!まあ私達も似たようなもんだけどね〜」
そう話すのはバスの中で知り合った、圭祐と優奈に歳の近そうな女。名前舞香というらしい。
魔法を主体に近接戦もこなす《錬成師》というクラスを得たと話す彼女も、いつも一緒に行動しているという、彼女の隣に座るサイドを刈り上げ短く切られた茶髪のアクティブさと正反対の死んだ目をした覇気の全くない男、蓮とたまたま同じパーティになったそうで、喜んでいる。
彼女らのもう1人のパーティメンバーはチャラそうな男であるが、舞香や優奈を口説こうとするも全く揺らぐ気配すら見せないと「おもんね」と言って別のパーティーの女の子に声を掛けに行った。
ある意味大物である。
「蓮はクラスなんなんだ?」
「…俺は…《グラディエーター》…」
「へえ、強そうだな、自動階段か…。」
「圭祐くん、それエスカレーター」
こっそりと鑑定を掛けると、攻撃特化型の職業であるらしく、STR値がずば抜けて高かった。
「そういえば圭祐〜、遠藤さんとはどんな繋がりなの?」
「どんな……え、うーん、なんか突然話しかけられてからというもの俺の行く先々に現れる人?」
「人を不審者見たく言うのやめてね?」
「としか言い様がないかもしれない」
「…まあ否定は出来ないよね。」
「へえー遠藤さんストーカーなんだ〜っ!」
「違うよっ!?やめてよ!?逆に優奈ちゃんはどういう繋がりなの?」
「うーん、優奈は、俺の……うーん、下僕?」
「圭祐、遠藤さんの時もだけどそんな方々に敵作るといつか刺されるよ?」
そう言ったあと優奈は圭祐との出会いから話し出す。
「うわっ、けーすけって無茶苦茶するんだね!」
「圭祐くん、たしかにいつ見てもすごい軽い感じでいたもんね。」
「そうなんだよ。圭祐初めて見た時なんて普通に私服で入っていこうとするからびっくりしちゃった!」
「でもそんなけーすけのお陰でゆーなは強くなれたんだ?」
「まあ、そうだね…。ほんとに感謝してる。」
「おうおう、まああとで靴とか舐めてよ。」
「こんなキャラしてなければもっと素直に感謝出来るのになあ…」
そう言うと優奈は笑い、それに釣られみんなが笑い出した。
そうして話していると目的地へ到着する。
「さ!ここからはみんなライバルだねー!!無事シルバーになれたらみんなご飯にでもいこうねー!」
「そうだね!お互い頑張ろっ!」
ダンジョンへ先に向かう舞香たち。
圭祐たちは、遠藤の助言により先に役割を分けてから向かうことにする。
「2人ともソロで潜っているみたいだから知らないかもしれないけど、パーティで探索する時はこの役割が要となってくるんだよ!」
「なるほど〜。遠藤さんはどんな役割しているんですか?」
「僕は《戦士》だからタンク役だよ。」
「私は魔法職なんで後ろですね!圭祐は…」
「俺はなんだろ、剣士だから前だと思うけどなあ」
「どうしようか、じゃあ1人で潜っている圭祐くんが斥候も兼ねて前。優奈ちゃんが中。僕が背後を守るっていうのでどうだろう?」
「賛成!」「俺もいいと思う」
「じゃあ早速この役割で試しながら探索を進めてみようか!」
役割を決めた3人はダンジョン前まで来る。
ほかのパーティーはすでに中に入っているようだ。
「絶対この試験突破してシルバーになろうね!!」
「「おー!!」」




