【第一章】第九部分
日中は普通の授業が行われ、放課後になった。
生徒たちはぞろぞろと、校舎の裏の体育館のさらに裏手にあるドーム球場のような建物に、急ぎ足で向かっている。
中に入ると、まさに野球場のように真ん中がマウンドのようにこんもりと盛り上がっており、ベンチから小さな幼女がのたくってマウンドに向かっている。
幼女はブルーの警察帽に、タイトなミニスカで、太ももの大半が外気に触れている。
腰には黒いベルトをしており、そこには黒い拳銃が刺さっている。
身長は130センチに満たない、見た目は超小型警察官である。
幼女は高いマイクを引き下ろそうと背伸びするがなかなか届かない。ついにはジャンプしてマイク部分を掴むことに成功するが、マイクスタンド共々、倒れてしまった。結果、マイクはスタンドから分離した。
「あいててですぅ。失礼しましたですぅ。さあここからは課外授業ですぅ。ここからは給料支給の対象になるんだから安心するですぅ。」
腰を打ったらしく、小さなお尻の上をさすりながら、マイクを握る幼女。その手はもみじのように小さく、マイクは大きなバナナにも見えてしまう。
幼女教師はマウンドに立っているにも拘わらず、あまりに小柄なため、見る生徒の目線の下になっている。
体操服に着替えた生徒全員の前で、幼女教師はマイクに呼気をぶつけた。
「自己紹介が遅れたですぅ。先生の名前は、萌江田萌絵ですぅ。先生は課外授業の教師の端くれーむですぅ。いつもクレームつけられてますう。でもめげません。先生のふたつ名は、このコスプレでわかる通り、ミニスカポリスですぅ。でもみんなからはミニスカロリスと誉められてますぅ。先生はエライのですぅ。みんなから『エライ良い子』とアタマナデナデされるのが大好きですぅ。」
『し~ん。』という空気が体育館を支配した。さすがにミニスカロリスもそれを察知して、ゴホンと咳払いして授業説明に入った。
「銀行員の基本は、さばかん訓練ですぅ。さばかんとはおいしいですぅ。」
「ミニスカロリス先生、意味がわかるけど違ってま~す!」
先頭に立っている三つ編みメガネの真面目そうな女子が指摘した。
「すみません、間違えました。さつかんですぅ。さつかん、漢字では『札鑑』と書きますが、それはオサツを数えることですぅ。さつかんには、横読み縦読みがありますぅ。縦と横では枚数が異なるように設定しているですぅ。それをみなさんにやっていだきますぅ。でもこれは魔導銀行員授業ですから、そこを注意してくださいですぅ。あとは流れに沿って対応してくださいですぅ。給料支払い対象ですから、対処方法は各自考えてください。それも授業の一環ですぅ。」
ミニスカロリスはベンチに引き上げて、生徒たちはマウンドを取り囲むように並んだ。マウンドが開いて、そこからカマボコいたのような形のものが縦に立った状態で出てきた。
高さ二メートルはある大きなものである。カマボコは生徒の人数分あり、それぞれ
生徒から10メートルの距離に出現した。