表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/69

【第一章】第七部分

「一本木亜里栖!君は合格だよ!」

「何言ってるのよ。完全に不合格じゃない。今さら、アタシを騙そうっていうつもり?子供だましじゃあるまいし、バカにするんじゃないわよ。グスン。」

「合格基準はデジタルだから、亜里栖君が80位だったという事実があるだけだよ。」

「だって、アタシの名前なんてなかったじゃない。」

「さっきまではね。でももう一度スクリーン、いや手元の端末機スマホをみてごらん。」

「あっ!合格通知が入ってる。預金獲得額1万3千MM。あれ?増えてるわ。」

「そう。亜里栖君が倒した893の部下の預金が入ってきたんだよ。どうやら亜里栖君をイジメたことを反省してそのお詫びで預金口座を開設したらしいよ。」

「お詫び?そんなタマだったの?殊勝なことだわね。まあアタシのオーラがヤツの心に刺さったんだわ。」

「ポジティブな解釈お疲れ様だね。とにかくこれで正式にウチの学校の生徒になれたんだよ。おめでとう。明日から遅刻しないように登校するんだよ。」

「遅刻なんか、しないわよ。アタシは朝には強いんだからね。そ、それにアタシの呼び方、下の名前で呼ぶなんてなれなれしいわ。」

「あっ、ゴメン。じゃあ、なんと呼べばいいのかな。一本木のイッチャンナンチャンとか。」

「どこの賞味期限切れのお笑いタレントよ。くだらないこと言わないでよ。・・・あ、亜里栖でいいわよ。」

 亜里栖は少々頬に血流が集まっている。

「それは良かった。いちおうオレの方が先輩だし。」

「えっ?そりゃそうよね。すでに生徒会に入ってるんだから。」

「オレのことは、秀太郎先輩でいいよ。」

「はあ?長過ぎるわよ。」

「じゃあ、秀太郎で。」

「そこまで言うなら仕方ないから呼んであげるわよ。しゅ、秀太郎。明日は遅刻しないんだからねっ。」

『プイ』としてスカートを翻した亜里栖は次の言葉を、ハエの鳴くような微妙にトゲのある声で囁いた。

「感謝なんかしたくないけど、きょ、今日はありがとう。」

「何か言ったのかい?」

「な、何でもないわよ。もう帰るわ。」

そそくさと学校をあとにした亜里栖。その背中が見えなくなるまで、見送った秀太郎はポツリと呟いた。

「亜里栖のお父さんに感謝だな。」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ