【第三章】第二十四部分
「そういうところだけは察しがよくてよ。でももうちょっと足りませんわね。退学したら、ワタクシの執事になっていただきますわ。そうなれば、あんなことや、こんなことや、そんなことを好き放題させていただきますわよ。この前の抱擁券を仮装通貨のように印刷させていただきますわ。」
「抱擁券は大量破壊兵器か。命懸けだな。」
「そうなってほしいですわね。最後に悪の正義は勝つのですから。ホーホホホッ。」
生徒会室を出たあと、秀太郎は思考をフル回転させていた。
「会長に啖呵を切ったものの、いったいどうすれば。亜里栖は貯めた魔力マネーを食べていた。貯めたものは使えば無くなる。・・・そうか。魔力マネーを消費させる方法と同様ではないか。」
秀太郎はコブシを握り締めて、夕暮れの道を走っていった。
「お父さん。お願いがあります。」
秀太郎が飛び込んだ先は亜里栖のスーパーだった。亜里栖の父親は夕方の買い物客が帰った後で、落ち着いていた。
「お父さん?君のお父さんになるにはまだ早いんじゃないか。」
「そういうツッコミはよしてください。ちょっとお話させていただきたいんですが。」
「なんだ、いきなり。っと言ってもアリスのことだよな。こっちも心配しているんだが、学校で安全に確保されていると聞かされているし。魔力マネーの件では世間に大変な迷惑をかけているとも言われてるから、今は学校の言うことを聞くしかないし。」
「このままでは亜里栖はきっとおかしくなってしまいます。その前に手を打たないと。そこでお父さんの力を借りたいんです。」
「俺にできることってあるのかなあ。」
「それがあるんですよ。お父さんにしかできないことが。」




