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【第三章】第二十三部分

「これは一本木さんのためなのです。仮装通貨は社会悪かもしれませんが、一本木さんにとっては正義の味方なのですわ。」

亜里栖は返事せずに、ニセ札ミイラにくるまれていた。

「うああ~。」

 亜里栖は苦しみながら仮装通貨を浄化していく。

「こうすることで、自分の体を守る。まさに身を守ることになるのですわ。」

「はあ、はあ、はあ。生きるために自分の人生を殺す。まさにアタシらしいわね。うわああああ~。」

 今度は別のニセ札ミイラで苦しみながら浄化を続ける亜里栖。

再び世の中に、ニセ札つまり、仮装通貨が出回っていく。

悪貨は良貨を駆逐して魔力マネーはほとんど出回らなくなっていた。

魔力マネーはさらに高騰してインフレとなり、経済はさらに悪くなった。


それから一週間が経過した。

亜里栖の顔色はだんだん悪くなり、青白いを通り越して、夜の海のような色になっていた。

 秀太郎と会長は生徒会室で話し合いをしていた。生徒会運営に関しては対立関係にあるとはいえ、同じ生徒会メンバーであり、コミュニケーションを取ることはできた。

「会長。亜里栖の体に対する負担が大きすぎる。このままでは亜里栖は廃人になってしまうぞ。」

「そんなことは百も承知しておりますわ。でも一本木さんに仮装通貨浄化をやめさせることはできません。副作用のインフレと魔力マネーの消失を天秤にかけると、インフレの方が、お金があるだけまだマシということですわ。これは究極の選択です。」

「そういうことを言ってるんじゃない。いちばんは亜里栖の健康、体調のことだ。」

「残念ながらそれは劣後扱いですわ。経済に与える影響の大きさに対する一個人の体のことなど、比較対象になりませんわよ。」

「『人命は地球よりも重い』という言葉を知らないわけがなかろう。」

「そういう言葉は、実際にそんなことはないということのアンチテーゼですわ。なんなら、生徒会でアンケートを取ってもよろしくてよ。副会長の案は間違いなく否決されますわよ。」

「ぐッ。わかった。ならばオレはオレのやりたいようにやるさ。生徒会副会長としてではなく、少数派の人間としてな。」

「いいですわよ。それで問題が解決されるのであれば、ですが。もし、事態を悪化させるようであれば、今度こそ副会長辞任では済まされませんわ。」

「つまり、退学ということだな。」


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