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【第三章】第二十二部分

「姿が見えないのにアタシのことを捕まえられるはずがないわ。」

「真っ暗な中でもオレは君を捕まえられる。すでにハートを握り締めているからな。」

「な、何、変なこと言ってるのよ。あっ。」

「ほら君を捕まえたぞ。君は温かいなあ。それに意外に出るとこ、出てるな。」

「そ、そんなこと言うと出るところに出るわよ。」

「ハハハ。掛け合い漫才だな。このスキにハグ!」

秀太郎は亜里栖を軽く抱きしめた。今度は実食である。

「今ので抱擁券、一枚使ったなあ。」

「えっ?抱擁券、持ってないのに。胸の中が痛くなったわ。これって、何かおかしいわ。」

亜里栖は自分の体を揺すってみた。自分を抱いてくれていたはずの秀太郎は、そこにいなかった。


「もしかしたら、今のはアタシの妄想なの?」

暗い中では妄想が激しくなるのは恋する乙女にありがちなことである。

「い、痛い。胸が脈打つようにズキンズキンするわ。」

亜里栖は胸を押さえてしゃがみこんだ。

「うあああ!スゴい痛みだわ。ガマンできない。秀太郎、助けて~!」

パッと金庫内が明るくなった。

「ま、まぶしい!」

「一本木さん。ご気分はいかがですか。」

「会長はこの胸の痛みのことを知ってるのね?」

「ご明察の通りですわ。一本木さんはとある感情で魔力マネーを吸うことはさっき証明されました。しかし、魔力マネーが遮断、もしくは無い場合には、自分で蓄積したものを食してしまいますわ。タコが足を食べるようなものです。ほら胸を確認してくださいな。山の一部が崩れてますわ。もっとも、始めから砂上の不合格ですけど。」

「これでもかっていうレベルの不合格だわね。落ちた受験生は二度と立ち直れないわよ。」

「その受験生こそ、一本木さんなのですわよ。」

「わかってるわよ。アタシはこのまま自分の体を食っていくということなのね。つまり、生きることをやめろって言いたいのね。」

「そうではありませんわ。ワタクシは悪ですが、正義の生徒会長です。」

「やっぱりその言い方は悪の権化だわ。」

「お好きに評価しなさいですわ。そんなことより、一本木さんの命を守るために、やっていただくことがありますわ。」

黒サングラスが金庫から亜里栖を見つけた迷子のように連れ出した。

建物の最上階に上がった亜里栖は見覚えのあるニセ札ミイラに接した。


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