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【第三章】第十八部分

「そちは落ち穂拾いじゃが、ガマンしてたもれ。」

眉をひそめて悲しげな表情になった秀太郎は、ゆっくりと左手の上腕部に意識と血流を回した。

「落ち穂拾いって何よ!アタシだって性徴したんだからねっ。」

「その誤字はビミョーに危ないぞ。」

「細かいことにうるさいわね。こっちは超恥ずかしいんだからね。もう抱擁券なんか使うんじゃなかったわ!」

「そう言うなよ。お父さんの気持ちを素直に受け取れよ。」

秀太郎は右手首に軽く力を込めて、ぐぐっと寄せた亜里栖の胸部が秀太郎の体に接触した。

「おおお!この感触は一般女子にあるべき姿。つまり、おっぱいがある。地軸が逆転したぞ!」

三等宝くじが当たったサラリーマンのように歓喜する秀太郎。

「し、失礼ね。そこは、ある、じゃなくて、豊かに実ってる、が正しい表現でしょ。」

「そうだな。これは朗報だ。しかし、どうして急にこんな異変が起こったんだ?」

「異変とか言わないでよ。」

真横で騒ぐふたりを真顔で見ていた会長。

そこにミニスカロリスが亜里栖の前に出て、亜里栖に声をかけた。

「お取り込み中、申し訳ないですが、一本木さんにお伝えすることがあるですぅ。」

「先生、まだいたの。用は済んだんだから、さっさと帰ってよ。あっ、会長も同罪ね。」

「ワタクシは罪人ではありませんわ。」

「一本木さん。ご存知かと思いますが、銀行に魔力マネーがなくなり、貸す資金がなくなったですぅ。結果として、貸出金利は高騰、ますます借りにくい状態になってるですぅ。魔力マネーの高騰は続いており、経済には深刻な打撃を与えてるですぅ。魔力マネー消失の原因は、一本木さんにあるとの疑いが強まってるですぅ。最近何度もスーパーに足を運んであなたの容疑を確認しましたし、一本木さんにも自覚があるものと推察するですぅ。先生はそのためにここに並んだのですぅ。以上から一本木亜里栖さん、逮捕するですぅ。」

 ミニスカロリスは一通の逮捕状を亜里栖にこれ見よがしに示した。

「どうして、いきなり、こんなことって!お父さん、秀太郎、何とか言ってよ!」

ふたりは眉間にフォッサマグナのような深いシワを寄せるだけで無言、無抵抗だった。

亜里栖を乗せたパトカーはすぐに発車して、スーパーを離れていった。

亜里栖は閉まった窓から外に向かって吠えていたが、声を通すほどパトカーの窓はやわではなかった。


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