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【第三章】第十七部分

「秀太郎、オトナオンナな先生にもセクハラ手を出すの?このロリコンがぁ!」

「オトナオンナとロリコンというフレーズは矛盾してないか?それにオレは、撫でただけだぞ。どこがセクハラだ?」

秀太郎は疑問を呈したが問題は次の順番が会長なのか、亜里栖なのかに移っていた。

「先生だってセクハラされたんだから、アタシもその恩恵を被りたいわ!」

「ワタクシこそ、セクハラの聖地に旅立ちたいですわ!」

もはやハグはセクハラカテゴリーの中心に立っていた。

「よし、ふたりが列の最後だし、出血大サービスしてやるぞ。」

秀太郎は胸を叩いて気合いを入れた。

「「出血!?そ、そんな激しいプレイを?初めてなのに。」」

ふたりとも秀太郎の過激でもない言葉に大きく動揺した。

「ちょっと、大きな誤解をしている可能性大だぞ。でも待てよ。」

秀太郎は亜里栖と会長の手を比べて見た。

「亜里栖には抱擁券がないな。」

「えっ?抱擁券なんて持ってないわよ。アタシは店側なんだから。」

「ならば仕方ないな。会長だけをハグするか。」

「ワタクシの一人勝ちですわ!」

タイマンで一人勝ちはやや不自然と思われる。

「ず~ん。」

石の上に三年の亜里栖。悲しく粘っこい涙を溜めている。

「アリス。これを使うんだ。」

父親が亜里栖の手をぐっと握り締めて、一枚の紙切れを渡した。

「お父さん。これって抱擁券じゃない。ちゃんと補助券を集めないともらえないんじゃ?」

「これはパパが自宅用の日用品をせっせと購入して補助券をかき集めたものだよ。お客様用のものをどうこうしたわけじゃないから安心して使えばいい。」

不二家のキャラのように、ビミョーなニッコリの父親。

「お父さん、ありがとう!抱きっ。」

 というセリフだけで、実際に父親ハグは未遂に終わった。亜里栖は冷静だった。

「亜里栖も抱擁券を得たのなら、こうしよう。ふたり同時にハグ!」

秀太郎は左手で会長の、右手で亜里栖の背中をつかんで、まずは右側を一気に引き寄せた。

「左からボヨヨン。」

「あは~ん、ですわ。」

「うむ。日頃から見てる通りの感触だな。実に心地よい。余は満足じゃ。」

殿様モードに転換した秀太郎。

左手が柔らか感触を完食したあと、右手を見た秀太郎。


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