【第三章】第八部分
「まあ!」
(実に凛々しいですわ。)というセリフを喉の奥に封じ込めた会長。
「さあ、巨舟は船着き場にいるぞ。今からエンジンかけるからな。」
「巨とか言う誤解を招くような接頭辞はやめてくださいな。」
「いや実態通りに言ったまでだ。どこにも誇張はないぜ。」
「まあ。」
(なんとも勇猛ですわ!)
このセリフもサイレントモードだった。
「ほらほら、いつまでもオトコを待たせるもんじゃないぜ。恥をかかせる気か。」
「それは女の子のセリフですわ。勝手に盗んではイヤですわ。」
だんだんと顔が赤らんでいく会長。
「早く対等の立場になってくれ。纏うものがなければ、会長も副会長もない。タダのオスメスだ。」
「そんなワイルドな表現は避けてくださる。せかされなくても、ワタクシは、け、経験豊富なんですから。こ、こんなこと、慣れておりますわ。」
会長もブレザーを脱いで、シャツのボタンに手をかけた。バイオレットの下着がかすかに透けている。
(うっ。これはけっこう派手なものが趣味なのか。それになんとも豊かな中身を想像してしまうぞ。)
透けた下着の色と膨らみが、秀太郎の脳裏を焼いた。
会長はシャツを脱ぎ、一気にスカートのファスナーを外して、秀太郎に投げつけた。
「うわああ!」
それまで強気だった秀太郎の牙城が崩れ落ちた。秀太郎は顔をおおってしまった。
「は~い。ご開帳ですわ。ワタクシのすべてを堪能するがいいですわ!」
今度は会長が攻守交代宣言した。
「あれ?なんだかおかしいぞ。」
「それはこちらの言い分ですわ。指のスキマスイッチをオンにして有効活用しているではありませんか。」
「い、いや、これは指の表面張力がS極とN極に分かれて、互いに反発しあってだな。いやそんな言い訳は無用だ。第一、会長は水着を着ているじゃないか。」
会長は紫色のビキニを着用していた。メラガ入っており、キラキラと輝いている。
「こちらの方が楽しみが増すということはありませんか。ベッドの上でのマット運動は激しいですから。」
「マッド運動会だと?それはかなり激しいプレイが予想されるんだが。」
「マットとマッドでは大違いですわ。それに、激しいなんて、イヤですわ。優しくしてくださいまし、ダンナ様。ポッ。」
ベッドに座り、再び下向き目線になった会長。
「うっ。思わず、下半身に手をやった秀太郎。」