【第三章】第七部分
「えっ?今、なんと言った。」
「女の子にこんなセリフを何度も言わせるものではありませんわ。」
「い、いやたしかに聞こえたけど。それじゃないとダメ?ちょっと待ってくれ。心と体の準備体操をしてから。イチニサンシ・・・。」
リアルにラジオ体操っぽいモノを始めた秀太郎。特に腰の周りを左右に大きく回している。ある意味、やる気満々に見えたりする。
「よし、その条件、受諾しよう。」
全体朝礼の校長のように毅然として語る秀太郎。
「でもそれは一本木さんの目の前でですわよ。彼女は隣の部屋にいますから、いつでもワタクシたちの行為をガン見できるポジションにいらっしゃいますわ。」
「ぐっ。そ、それは。」
「ほらほら、ダンナさん。先ほどの決意はどこかに置き忘れてきましたのですの?ホーホホホッ。」
プチ整形に成功してキレイな二重まぶたになった女子のように、急に強気に出てきた会長。
「亜里栖にあられもない死体を、じゃない姿態をサラセン帝国か。」
『の、の、ぬ、ぬ、』という文字を手のひらに書いた秀太郎。
「ままよ!」
それらをイッキ飲みした秀太郎。
「オレも男だ。その超恥ずかしいシチュエーションに合意する!」
断固たる宣言を行った秀太郎。
「ええっ?そ、それでいいんですの?ま、まだ意見撤回届を市役所は受理しますわよ。」
「いや、構わない。オレは経験豊富だからな。さあ、亜里栖の前に連れていけ。」
「そ、そこまでおっしゃるなら、いいでしょう。と、隣の部屋に行きますわよ。」
ドアをノックして、亜里栖の宿泊室に入るふたり。
部屋には2つのベッドがあり、カーテンで仕切られている。
亜里栖はカーテンの中におり、起きているのか、寝ているのか、定かではない。いずれにしても、誰もいないような静寂が空気を支配しているが、亜里栖が中にいることは間違いない。
「よし。おれは決めた。会長はそこのベッドで横になってくれ。」
上着を脱いで、シャツのボタンを外し始めた秀太郎。
秀太郎は胸をはだけた。着痩せしているのが、割れた腹筋が露わになった。




