表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/69

【第三章】第五部分

「お父さん、見直したよ!お父さんがこんなに立派だとは思わなかったわ。」

しかし、いつきはニヤリとして、父親の耳元で何事か囁いた。

すると、父親の顔色が変わり、そのまま札束を胸元に入れた。

「一本木さんのお父様が受け取った理由がわかりますか。」

「さあ、いつきの色香じゃないの。」

「いいポイントつかれますわね。でもそれだけじゃありませんわ。定番ですが、仮装通貨を受け取らないと、亜里栖さんが二度とお店に帰らぬ人になるということを言っておりますわ。」

「それでお父さんがニセ札を受け取ったっていうの。」

「そうですわ。もちろんお父様は渋々でしたけど。ウソだというなら、次の一言を聞いてくださいな。」

「娘の命には変えられない。俺は受け取りを拒否しない。」

ハッキリとした、いつもの父親の肉声がスピーカーから響いた。

「えっ。ま、まさか、お父さん。そ、そんな・・・。」

亜里栖はその先の言葉と顔色を失った。

「はい。これで一本木さんの準備は整いましたわ。仮装通貨の量産態勢に入りましょう。」


こうして、生徒会は印刷したニセ札ミイラで亜里栖をくるんでは、仮装通貨を作り出し、それを生徒たちに振る舞っていった。

仮装通貨は不完全ではあったが、本物に極めて近く、魔力マネーとして活用する生徒への体の負担は軽減され、体調を崩す生徒も減少していった。

生徒会も魔力マネーの消費が減り、財政は豊かになっていった。浄化するといって亜里栖の浄化は完全ではない。多少の毒素は仮装通貨に残るだけでなく、亜里栖自身の体もわずかではあるが蝕んでいた。

亜里栖の顔色は少しずつ黒く変わっていった。年頃の女子にとって、自分の美貌を崩すことは命を奪われるに等しい。しかし、今の亜里栖はそんなことすら気に止めることがないほどに、自我を喪失していた。


 亜里栖は自宅に帰ることなく、生徒会室に寝泊まりすること強いられた。生徒会室には宿泊室もついていた。カギはなく、脱出しようとすれば十分可能であり、軟禁未満で拘束されていなかったが、亜里栖にはそこを出る意思がなかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ