【第三章】第三部分
「成功ですわ。仮装通貨の副作用毒を自分で浄化してますわ。これなら、仮装通貨が永久機関のように使用できますわ。この特異体質こそ、ワタクシが探していたものですわ。これで魔力マネーを稼がなくても印刷するだけで、ザクザクとなりますわ!」
眼が少女漫画のヒロインのように、必要以上に輝く会長であった。
「仮装通貨は魔力マネーがこもった通貨なのです。仮装通貨で魔法が使えれば、魔力マネーを貯めることができます。だから、貧しい魔法使い生徒たちにはうってつけなのですわ。」
「でも偽の魔力を使うため、からだがおかしくなる。そんなの、おかしいわ。」
「そういう副作用を理解した上で使うのですから問題ありませんわ。」
「実験は大成功ですわ。これからどんどん新仮装通貨を試していきましょう。ご参考までに、ワタクシのコレクションをごらんくださいませ。」
次々と運ばれてくるミイラ。USドル、ユーロ、元、ポンド、など各国の通貨ミイラ棺桶が所狭しと並べられている。
「これ、みんなあたいが作ったんだじゃん。」
制服の上に割烹着の女子。いつきが無機質な表情で亜里栖に声を飛ばした。
「いつき。あんたがこんなことをした張本人なの?アタシたちを騙しただけじゃなく、もっとひどいことをしてたのね。見損なったわ、とか言わないわよ。悪に染まった敵キャラは、本当は心の優しい人物で、脅されたりして悪人を演じている設定がよくあるけど、あんたの場合は極悪認定を深めただけよ。」
「それは大いなる誉め言葉と受け取るじゃん。悪からのアドバイス。あたいは用事があるから急遽外出するじゃん。」
いつきは猛ダッシュして校外に出ていき、瞬く間に背中が見えなくなった。




