【第二章】第十三部分
「ベタベタは、体に侵入していろんなことを知ることができるですぅ。」
「まさか、非公開スリーサイズを確認したと言うの?」
「はい。しっかり、正確に把握したですぅ。でも先生なんだから、身体測定結果はそもそも見放題ですし、一本木さんのスリーサイズ情報は無価値ですぅ。」
「なんですって。この超ナイスバディを愚弄するとは許さないわよ。バチン。」
「いてえ!何するんだよ。」
亜里栖にぶたれたのは秀太郎であった。
「先生のカミングアウトもどきを聞いて、アタシに無言のセクハラをした罰よ。」
「オレは無実だ!第一もどきなら、真実ではないんだから、問題ないだろう。」
「チワワ喧嘩は犬も食わない、共食い禁止ですぅ。何でもわかるというのは、もっと際どいところを言うですぅ。」
「な、何が言いたいのよ。」
「例えば誰か好きな人がいるとか、ですぅ。」
「メラメラ。先生。それ以上の言葉を発したら殺すわよ。そしてこんな気持ち悪いのは、こうするに限るわ。」
亜里栖は水飲み場に走っていき、水道の蛇口を上に向けあと、思いっきり捻った。
大量の水が勢いよく流れ出した。ブルーの制服の上から水を浴びる亜里栖。
「水で飛ばそうとしても、そうカンタンにはやられませんですぅ。」
たしかにぐにゃぐにゃは亜里栖に張り付いたままである。
「もちろんこれは次の攻撃の準備よ。本当の狙いはこれよ!」
亜里栖は白い袋を持っており、それを破った。白い粉のようなものがこぼれ落ちた。
「一本木さん。まさかの危険ドラッグですかですぅ。そんなものを学校に持ってくるのは、超行則違反ですぅ。いや、刑法違反ですぅ!」
「悪がそんなことを言うの!それに債権回収を行う正義の銀行員生徒が、違法行為をするわけないじゃない。これはタダの塩よ。」
亜里栖は塩を力士のように手に取り、体にまぶしていく。
「先生はナメクジじゃないですぅ。こんな小学校理科実験以下レベル攻撃なんか効かないですぅ?」
ミニスカロリスは亜里栖の体にくっついているが、疑問だらけでクビを捻ったように感じられた。そしてミニスカロリスのぐにゃぐにゃは、だんだん小さくなっていく。
「浸透圧の関係なんだから、ぐにゃぐにゃは干からびるのが当然だわ。」
「あ~れ~。体が縮んでいくですぅ。もうガマンできないですぅ。」
ついにぐにゃぐにゃは亜里栖の体から離れて元のミニスカロリスに戻った。
「やっと退治したわね。でも塩水だらけの制服は気持ち悪いわ。」
亜里栖は制服を脱いだ。しかし、濡れたシャツは、その下にある薄い繊維製品を『透けルトン化』していた。
「きゃああ。ヘンタイ。バチン!」
両手ではたかれたのは秀太郎であった。




