【第一章】第二十一部分
いつきは、路上にブルーシート敷いてお茶を飲んでいた。
「とりあえずそっちのターンは終了かな。いちおう銀行への礼儀として甘んじて攻撃を受けてやったけど、屁の突っ張りにもならなかったじゃん。じゃあ、まで今度はこっちからいくじゃん。まあ、さっきのヤツよりもはるかに格下に見えるから、竹刀なんか使わなくてもいいだろうけど。あたいこそ、羽根なし扇風機の風を吹かしてやるじゃん。ぶるん、っとな。」
いつきが軽く竹刀を振ると、鋭い風が吹いて、亜里栖の銀行員制服の上に切り目が入り、ピンク色の下着が露出した。
「きゃあ!」
慌てて胸を隠す亜里栖。
「あらあら、見る価値もないのに。その部位もあたいが完勝してるじゃん。」
割烹着の上からでもノーマルレベルのボリュームが内蔵されているのは明白である。
「ぐっ。なかなかやるわね。敵としてはギリギリで合格かもね。」
「何強がり言ってるじゃん。ならば強風モードに切り替えるじゃん。スイッチオン。」
竹刀の根元を何気に押すいつき。無論ボタンはなく、ポーズのみ。
今度は亜里栖のスカートの裾部分をカットした。
「きゃあ!痛い!」
パンツはかろうじて保護されているが、太ももには赤い筋が見えた。わずかに皮膚に傷が入っている。
「さあ、いたぶるのも飽きたし、決めポーズにいくじゃん。悪の浄化モード、キュアイッキ。突きに変えてお仕置きじゃん!」
プリキ●アとセーラー●ーンの合体技のような掛け声で、いつきは竹刀で空気をバツ印に斬った。
バツはそのまま亜里栖に激突し、亜里栖は大地に突っ伏した。
「正義は悪の銀行員に勝つ。やっぱりあたいが正義だったじゃん。」
「正義は相対的だとメガネが言ってたわよね。アタシの正義は銀行にはないわ。」
「じゃあどこにあるじゃん。そのスカスカ胸には何も詰まってないじゃん。」
「言ってくれるわね。」
亜里栖はひとこと言うのがやっとで、立ち上がれない。
「さっき、メガネとあんたの話を聞いてたけど、あんたの家は古臭いスーパーらしいじゃん。魔法がそんなレベルじゃ、スーパーの方もさぞかし品揃えが悪くて、品質もダメ、その割に価格は高いとかだろうじゃん。仕入れが大量にできなければ値段が高くなるのは当然だし。」
倒れていた亜里栖が、いつきの言葉を聞いて、耳がピクピクと動いた。
「アタシのことをいろいろ言うのは勝手だけど、スーパーを侮辱するのは許さないわよ。
品物はメーカーの努力の結晶。そこに血と汗と涙が隠されてるのよ。アタシたちはそれを理解して仕入れしてる。そんなみんなの思いを踏みにじるなんて許せないわ!これがアタシの真の魔法よ!」