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第13話 スライムぷよぷよ

「ここなら良さそうだ」


 拠点を探していた俺は、森から流れてくる小川を見つけた。

 水は重要だ。飲み水や料理、身体を拭いたり火を消したりと用途は様々だ。

 とくに赤色のスライムを相手にする場合は必須アイテムである。

 俺はさっき赤色のスライムを倒す為に使った空のペットボトルを取り出して水を汲む。

 川の水なので飲み水には出来ないが、最悪アウトドア浄水器を使ってキレイにするか、煮沸して水蒸気を集めればキレイな水は確保できる。

 まぁ、イベント期間は24時間なのでそこまで長居する事にはならないだろう。

 俺は小川のほとりに荷物を置くと、荷物を食事がてら荷物を整理する。

 スーパーにあった弁当を食べながらスマホを確認する。ここに来るまでに何匹かの青色のスライムを魔法で倒した事でMPが半分に減っていた。

 代わりにHPが回復する青色のポーションが2つ増えて計7個に。更にLvも1上がり11になった。

 現在のスキルポイントは3。Lvの低いスキルなら取得できるが、魔法イベントである今回は物理攻撃スキルはあまり用をなさないだろう。

 となるともう2P貯めて新しい魔法を覚えるか、更に貯めてファイアアローLv2を覚えるかだ。

 現状青いスライムにはファイアアローは効くが、赤いスライムには効果が無かった。変わりに赤いスライムには水が効果的なので水場にいる限りは安全だろう。

 ただ、スライムの種類がイベントのポイント取得条件になっていたので、複数のスライムがいるのは確定だ。

 となると方針は二つ。

 特定のスライムだけを重点的に狩るか、複数の属性の魔法を覚えて手当たり次第に倒すかだ。

 前者は他の属性のスライムをみすみす放置する事。

 メリットは単一属性のレベルアップに専念できる事だ。

 後者のメリットはとにかく数を狩れる。

 取得している魔法では攻撃が効かないケースが減るので安全性が増す。

 ただしLvが低いので威力が低く、強力なモンスターが出てきた時には役に立たなくなる。

 それはそれで困るよなーと思いつつもスマホをいじっていたら、新しいメールが入っている事に気付いた。


『スライムを一定数倒した事で倒したスライムの数、獲得できる特典を選択できるようになりました』


 ほほう。どうやらこのイベントはステージクリア後にまとめてもらうタイプのイベントではなく、そのつど好きな物が貰えるアイテム同時配布イベントだったらしい。

 早速俺は自分が倒したスライムの数について調べる。

『ブルースライム:8』

『レッドスライム:1』 

『倒した種類:2』

 ふむふむ。

 他には……と、『受け取り可能な特典』か。

 購入可能アイテムは『ポーション』。購入するにはブルースライムを3体撃破する必要があった。表示されているアイテムがこの1つだけと言う事は、恐らく倒したモンスターが規定数に達すると手にはいるアイテムが増えていくのだろう。

 そしてお待ちかね、スキルポイントだ。

 『種族撃破得点受け取り:スキルポイント2』

 2種類のスライムを倒したから2増えたのか。

 つまり新種のスライムを倒して行く度にレベルアップしたのと同じポイントが貰えるって訳だ。

 コレは美味しいイベントだな。

 つくづく真澄が来なかった事が悔やまれる。

 特典の受け取りをタップすると、所持しているスキルポイントが増え5Pになった。

 これでLv1魔法が1つ覚えれるようになった。

 回復魔法か他の属性の魔法が妥当なんだろうが、あわてて取得する必要は無い。

 これから出会う敵に合わせてどの魔法を取得すれば良いのだから。

 なによりスキルポイントには余裕を持っておきたいしな。


 ◆


 食事を終えた俺は近くに居たレッドスライムに水をかけて討伐数を稼いでいく。

 コイツ等はMPを消費しないで倒せるので非常に助かる。

 途中出てきたブルースライムとも闘い、ブルースライム4体とレッドスライム5体を退治した。

 そろそろMPが心もとない。あと結構だるくなってきた。

 これがMP切れの症状って訳だ。

 そこで俺は赤い液体の入ったフラスコを手に入れる。

 恐らくコレがMPポーションだ。

 コレを飲めばMPが回復する筈である。

 丁度レッドスライムを倒した時に2つ手に入ったので1本飲んでみよう。

 あまり残しても荷物が増えるだけだからな。

 そう言うわけで、赤い液体の入ったフラスコの蓋を開け、一気に煽る。

 あ、これイチゴオレ味だ。割と上手い。

 そう考えると、さっき飲んだポーションは風邪を引いた時に飲むと助かるスポーツドリンクの味だった気がする。

 俺はスマホを起動してステータスを確認する。

 レベルはまだ上がらないか、やはり数を倒すと上がりづらくなるな。

 MPは、おお全快している。

 よしよし、ここは川沿いに移動しながらレッドスライム狩りをしつつ、新しいスライムを探す事にしよう。

 あと購入可能アイテムに『MPポーション』が追加されていた。購入するにはレッドスライムを3体撃破する必要があるみたいだ。

 俺はレッドスライム狩りで空になったペットボトルに再び水を補充し、川を上流に向かって移動する事にした。


 ◆


「熱---っ!」


 森の中は意外に危険だった。

 森といえば木。

 そう、スライムが木の上から落ちてくるのだ。

 相手がレッドスライムだった場合は川に飛び込めばよい。

 だがブルースライムだった場合はファイアアローの魔法を唱えて自分に撃たなければならない。

 結果火傷をしてポーションを飲むを繰り返してしまう事になった。

 なので、近くの適当な枯れ枝を拾い、ファイアアローで燃やして松明を作った。

 レッドスライムの弱点が水な様に、ブルースライムの弱点は火だった。

 だからブルースライムに松明を近づけると、昼がタバコの煙を嫌がるように自分から離れていくのだ。そして松明を押し付けると焼け死ぬ。

 俺はコレを繰り返して森の奥にある上流へと進んでいった。

 何故そこまでして森の奥へ向かうのかって?

 それはモチロンフィールドを変えて出現するモンスターの種類を帰るためである。森の外ではブルースライムとレッドスライムしか出てこなかった。

 と、言う事はほかのスライムは別のエリアにいると言う事である。

 なので俺はすぐ近くにある別のエリアである森に入った訳だ。

 そしてそれは正解だった。

 森の奥には緑色のスライムがいたのだ。

 向こうはこっちに気付いていない。

 チャンスだ。


「ファイアアロー!」


 俺は炎の矢で緑色のスライムを攻撃する。

 炎の矢はスライムに見事命中するが、イマイチ効いている感じがしない。

 ブルースライムなら一撃なんだかな。

 多分属性が合わないんだろう。

 緑色のスライムはダメージを受けた事で俺の存在に気付き、こちらにむかってくる。

 だがその足はあまり速くは無く、俺はもう一度ファイアアローの魔法を発動した。

 しかし2発を喰らっても緑色のスライムは倒れない。

 もしかして効いていないのだろうか?

 いや、もう少し試してみよう。

 MPはレッドスライムを山盛り狩ればMPポーションが手にはいる。

 だから今はダメージを与えているかの確認だ。


「ファイアアロー!」


 そうして、4発のファイアアローを放つ事で漸く緑色のスライムを焼き尽くす事が出来た。

 アイテムは落とさなかったか。

 即座にスマホを起動させ、今のスライムを確認する。


『グリーンスライム:1』


 やはりそのまんまな名前か。

 まだ倒した数が足りてないから購入可能アイテムは不明だが、倒せない相手ではないと分かったのは収穫だ。

 次はこのグリーンスライムを重点的に狩っていこう。


 ◆


 森の奥へと進んでいくとちらほらとグリーンスライムが数を増していく。

 俺はその度にファイアアローを放ってグリーンスライムを狩っていった。

 とりあえず3匹狩ったので何が買えるか見ておこうか。

『毒消し薬』

 なるほどグリーンスライムは毒系のモンスターだったか。

 もう2,3体倒して薬をドロップしなかったら安全の為に購入しよう。

 ただグリーンスライムはファイアアローを連発しないと倒せないので今のままだと非効率的だ。MPポーションで回復したい所だが、あれは残り2つ。

 購入も出来るがあまり頻繁には使えない。一度赤いスライムを狩る為に森を出た方が良さそうだな。

 そう思った時だった。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 森の静寂を引き裂く乙女の声!

 声色からして中学から高校生と見た!

 俺は走った。

 薄暗い森の中、スライムしか敵が出てこないイベントで女の子の悲鳴があがるといえば正にアレ!

 美少女が服だけ溶かすスライムに襲われるというお約束のアレだ!!


「お願いやめて!」


 乙女が懇願する声が近くなってくる。

 俺は状況を確認する為に木の陰から様子を伺う。

 我ながらなんという冷静で的確な判断力なのだろうか?

 決してエロエロな光景が見たいからではない。

 相手の力も分からずに敵の中に突っ込むのは下策中の下策だからだ。

 と言う訳でこっそり覗く。


「っっっっ!?」


 俺は我が目を疑う光景を目にして自分の正気を疑った。

 確かに助けを求めていたのは女の子だった。

 それもかなりの美少女だ。

 スライムは巨大で、ピンク色をしている。

 そしてピンク色のスライムは期待通り女の子の服を溶かすサービスタイムを実施してくれており、彼女の服は半分溶けていた。

 だが……


「魔法……少女?」


 その姿は、どう見ても魔法少女のソレだった。


「魔法少女ぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

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