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逃避からーの恋愛日誌 8

 さて、ジンが普段ハッスルしないでこの様な戦い方を好むかについて説明したい。


 簡単に言えば一風変わったゲーマーだったからである。


 MMORPGの多くは種族や国家を別として対戦するというコンセプトのゲームが多い。

 ジンも漏れなくそういったゲームを気に入りやっていたのだ。

 敵地に潜入して見つかれば問答無用で戦闘になる仕様で勿論AI操作のNPCを狩る事も多い。


 そういったゲームの中で彼が好んで使うのは精霊などを使役する魔術師。攻撃魔法を自分で全て行うタイプではなく使役タイプを好んでつかった。この流れだと剣士じゃないのか? と思われたかもしれない。


 無論そういったキャラを動かす事もあったがその場合は前衛盾役なのに回避専門の二刀剣士などといったキワモノを好んだ。


 時には正規の戦闘用アイテムではないお金や設置型復活ポイント、攻城戦用兵器、謎掛け解除用トラップ等々そんな使い方想定してねーよと思われる方法や、レーダーの範囲外からの急降下爆撃など常識外の考えを持ち込んでゲームを進行するような()()()である。


 盤上なんて引っ繰り返せばいいんでしょ? と平然と考える男だからこそ、敵認定しつつも亜竜を前に簡単に撤退を決め込むし、オークの集落を態々姿を消してまで手間を掛けて襲撃する。


 要するに捻くれているのだが確実に勝負に勝つ為の努力や知恵を惜しまないタイプである。

 そんなジンだから見せ場が必要ないなら一撃でサクっと亜種も殺してしまう。



◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



「いやあ、いい稼ぎだった」

「なんというか拍子抜けじゃのぉ」


 帰ってきたジンの成果を聞けばシャロもそう言わざるを得なかった。


「ところでシャロ」

「なんじゃ旦那様」

「……あれ俺って何を聞こうとしてたっけ、お願いもあったんだけど」


 こんな男である。一日経ったらこの様でどうしてシャロが選んだんだとメイあたりなら詰め寄るだろう。


「そうだ、竜素材あるんだけど、こっそり換金する事って可能かな」

「それは可能じゃが、って竜?」

「おう、竜な、シャロだったら知ってるんだろ、俺が過去に竜を討伐してるって」

「知らんぞ!?」

「なんだ、てっきり知ってたのかと思ってたんだけど、まあいいや」


 『まあいい』で済ませる話題では無いのだが、シャロも『妾の旦那じゃしそれぐらいの規格外でなくてはな』などと意味不明な思い込みをしており話にならない。結局後日ギルドのルートで捌く事で話はまとまってしまった。勿論問題になるのだがそれはまだ先の話である。


「そうだ、シャロこの【古の契り】についてだよ」

「おう、それは説明しようと思っておったのじゃ」


 思い出したとジンが聞きたい事はこれだったとポンッと手を叩いてシャロに告げる。

 聞いてからの方が後悔するなんて言う事は多々ある。ヤンデレでは無いが似たようなものでもいいのか、不死の寿命をあっさり捨ててますけど、と愛の重さを違う方向で受け止めているジンも相当に病んでいるのはこれまでの境遇が育んでしまったと思いたい。


「そうか、うん、大事にするけど」

「けど」

「もっと自分の命は大事にせんかー」


 バシッとチョップをいれるジンの心はその心配で一杯だった。


「そんな勢いでチョップされたら頭にお尻が出来てしまうのじゃ」

「そんな訳ないわー」

「うー、痛いのじゃ」

「反省は」

「一応」

「後悔は」

「してない」


 仕方がないかと受け入れる事はもう腹を括っていたので問題ないが互いを知る事は大事である。

 少なくとも恋に恋しかした事の無いジンにとっては大事である。女性に夢なんて持ちやがって、などと悪友辺りが突っ込みをいれたところで改善されなかった善良な乙女心脳なジンは常識派を名乗っていた。

 そしてシャロは耳だけ発達したような女子高生的恋愛脳な上に自分の欲求に正直である。

 常識とはなんだったのか、ジンはその日を境にして考えを改める事ができたし、シャロは常識を学ぼうと思った。


その日はジンもこの後何年生きれるんだろう、種族神徒だから謎だぁと考え込んだ。

今更であり、誰も答えを持っていない悩みであった。

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