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逃避行日誌 2

 ヌルムの町へ到着。受付のお姉さんがSランク級に美人だった。

 残念だ……受付だし対象にさえ見てくれないだろう。

 昇格試験の段取りも済んだ事で安心。

 其の為にも宿に早々に泊まって休息を取る。実験諸々は後日。

 宿屋のおかみさんは肝っ玉系だった。

 ご飯は美味しいし、3日振りの風呂で汗もさっぱり流せた。

 やっぱり魔法処理より風呂がいい。魂が洗われる。

 ラッキースケベなんてのは伝説でしかない、俺の加護は相変わらずの性能。

 素敵な出会いなんて何処かに落ちてないかと思う。

 パンを咥えた女の子でもいいんだが落ちてないかな。

 女神様、今日も一日過ごせました。転生に感謝を。



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆


 ジンが宿でノホホンと日記などを書き込む前に時間は遡る。


「支部長、【愛の守護者】ジン・ストラット様が到着されました」


 この世界の有名な冒険者には必然的に二つ名が与えられている。自称などもあるが認められていなければ意味が無い代物で下手をすれば恥になる。称号があってもステータスにはなんの変化も無いからだ、だが冒険者組合(ギルド)が認知し情報を共有する程の物であれば別だ。本人が知らず呼称されているなんて事も在りえない話でもない、そう、ジンの与り知らない事だが、ギルドでは既に二つ名が付けられていた。それは一種の賞賛に繋がり恩恵や保護などが為される事につながる。


 ジンの実力、功績から考えて当然の処置である。

 しかし当人が二つ名を持っている事を知らされていないとまでは思っていない人ばかりだった。


「そうか、若手ナンバーワンじゃそうじゃが、どうみる?」

「そうですね、見た目では普通の青年でしたが」


 冒険者組合(ギルド)の支部長室。


 メイが報告した相手は当然この部屋の主である。


 ヌルムの町の冒険者組合(ギルド)支部長シャロ、辺境の支部を預かるだけあってその眼光はするどい。

 しかし容姿が幼い風体で、その眼光や雰囲気との違和感が拭えない。

 彼女が人種ではないとしてもだ。白色に近い銀髪に灰色と黒の混ざった瞳、少女のような体躯さえ考えなければ答えは一つなのだが……。


 実力でいえばランクS1の冒険者だった彼女は古の大いなる光輝人(アルーヴ)(エルフ)とも言われる古光輝人(ハイアルーヴ)である。


 ジンが表現したらロリババアと叫んでブッ飛ばされたかもしれない。


 冒険者組合(ギルド)がその不可侵な立場を維持できる秘密を担っている一人、それがシャロの正体。


 古光輝人(アルーヴ)を筆頭に光輝人(アルーヴ)闇輝人(デュアルブ)獣人種(セリアンスロープ)、果ては竜鱗人(ドラゴンスロゥプ)までもが人族(ヒューマン)の英雄と呼ばれた初代冒険者組合(ギルド)マスターに賛同して発足。


 その英雄の理念を守り通しているのが各地にいるギルド支部長、その中でも最古参の一人がシャロなのである。


「まだまだ、メイも男を見る眼ができてないのー」

「ですが普通の青年でしたよ、ちょっとニヤっとしてましたし」


『綺麗なお姉さんを前に嬉しくならないヤロウが居たら特殊性癖の持ち主で逮捕したほうがいいですよ! 警邏の方々お仕事です、そいつは変態に違いない』とジンなら申し開きをしただろう。そんなもの男の悲しい性質(さが)でしかない。


「はぁ、そういう事では無いのじゃが」


『判っておらんのお』と溜息を吐きながら支部長のシャロは諭すように続けた。


「良いか、この若さで二つ名を持ち、各地のギルド支部長からB1相当の実力を持っていると思われる人材など先ずおらんじゃろう。そして今までの町のギルド支部長なぞ妾に比べたら若造ばかりじゃろ? となれば其の実力も隠し通していると妾は見ておる。

 一応はギルド意思として『流しの冒険者』で通させておるが、こやつ……鍛えてみるのも一興じゃぞ?」

「そんな価値が?」


 シャロは表に滅多に顔を出さないが実力者であり伝説の冒険者、そのシャロがそこまで気に留める程の男なのだろうかとメイは思わずには居られなかった。


「じゃからまだまだじゃと言うのじゃよ、まあ受付じゃと碌な相手もいないし? アプローチもしにくかろうがの~、婚期だけは逃す出ないぞ」


 揶揄うように笑顔で述べられた一言に頬を引き攣らせたメイ。


「支部長も婚期逃してますよね」


 とついつい言ってしまったのはご愛嬌。


「……減給かの」


 ボソっと呟く恐怖の言葉。


「でも、いつまでもお若いですから相応の相手が居ないだけですよね」

「なんじゃ判っておるではないか」


 ホッとしたがこれ以上の薮蛇は困るとメイは退出した。婚期の話題は互いにとってご法度だった。


「久々に面白い玩具がやってきたの。フフフ、遊ぶにはちょうどよい」


 完全に己に非が無いのに関わらず、とばっちりの状態が待ち受けている事になっているなど、ジンは思いもしていなかった。

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