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恋愛日誌

 結婚は問題ない。

 でも命は大切にしよーよ。

 どちらにしろ実際に式を挙げて云々も考えないといけない。

 そこでお金は大事だよと言う事になる。

 解体済みの竜の遺骸からの素材も処分しよう。

 亜竜の素材は竜の下位互換だからいらないし。

 あとはオークの魔石とオークの死骸を肥料化した物も売るか。

 武器の手入れもしたいし。

 色々と準備しよう。

 女神様に転生の感謝を。



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



『そろそろ自己紹介が必要か』

「いや必要ないだろう」

『そう言うな【私】も仲間だぞ?』

「思考できるようにしたのは俺だけど不思議な感じでしかないんだよな」

『まあ、もう一人のお前みたいな感じでもあるからな』


 気が付いたか? どうしてジンの事に詳しいかと言えばこれが理由だ。

 正体? ハハ、ほらジンが今持ってる水晶の中身、『アイテムボックス』『マップ』『思考制御』なんかを一手に引き受ける『魔法思考生命体』が【私】だ。

 まあ今後もちょくちょく【私】の意見や主観が入った語りを楽しんでほしい。



 アイテムボックスは無限収納できるだけの機能ではない。

 例えば先日の亜竜だが既に解体されて部位や魔石などに分けられて収納されている。

 内部で自動といっても演算処理的な部分は【私】がやったんだ、だから先ほどの紹介につながった。

 ちょうどメンテナンスだったのでな。


 ジンの魔力を使用する事によって解体がなされる。

 得物だけじゃなく、武器なんかのメンテナンスも可能。

 竜を切るために作った大太刀なんかは折れず曲がらず切れ味も変わらないと言えど汚れは付く。

 しかしアイテムボックスへと収納すれば汚れも一切なくなってしまう。


 特殊な機能は様々付けられているが魔法を制御したりするのが一番の仕事とも言える。

 マップ連動式で自動追尾するような魔法弾が放てる。

 水晶の魔力も全てジンのモノなのだから操れない筈がない。


 世界に二つと無い存在だ。


『そういう訳だ、シャロ殿』

「そういう訳ですまして良いのかのぉ、じゃが婿殿じゃし」

「考えるな、感じろ、創造しろ、そして想像こそが魔法だろ」

「無茶をいうのぉ、じゃが実在しよるしなぁ」


 竜の遺骸を引き出したりする途中で紹介された訳だがシャロも驚いたようだ。

 ジンの適当さは死のうが直らないだろう。


 馬鹿だから。


 自分で自分を卑下するようだが、最初の【私】はジンによって想像された唯の仮想人格だった筈。

 それがいつの間にかここまで思考しだしたのは色々と理由がある。

 そもそもアイテムボックス(無限収納機能付き)という世の中には拡張した空間を持つアイテムバックしか無いにも係わらず、ゲームのイメージ優先で作った結果管理がしきれないという理由から、管理用の魔法を作ったのが始まりだった。我ながら情けない理由で始まったものだ。

 追加でマップの表示や脳内投影、表示する投影魔法を追加して、魔法の追尾がしたい、肉体強化しながら戦いたい、複数の思考で魔法を使いたいという望みから仮想人格でコントロールするというアイデアの元、管理魔法だった水晶をパワーアップし、自分の思考パターンを複製した。


 持ち主より賢い道具である訳だが基本的には表に出ない。いや、出れないと言ったほうが正しいか。

 こんな魔道具なんて存在しないから。


 ジンは自重というものを学ぶべきだと思う。


 そんな存在だから名前は無い、つけようとしたが却下だ。

 あくまで思考が可能な水晶だ。薬を作れたり作業が自動的にできるなんて朝飯前のトンデモ機能付きだと思ってほしい、【私】はジンの魔力がないと稼動できない存在だからな。

 面白い経験ができれば構わない。ジンであってジンでない、もう一人のジン、それが【私】なのだ。

 時折ジンが「俺より冷静で賢くね?」というが当然だろうに……。



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



 ジンはそのまま組合(ギルド)の受付で仕事を請け負った分の報酬を受け取って出口へと向かった。

 オークの集落討伐はランクCを中心に集めて討伐予定となっているが参加はしない。

 竜でも現れない限りは自分だけが必要以上に目立つのを避ける為である。


 忙しいらしいシャロの代わりに町を走り回る。

 服の仕立て職人から料理屋、果ては神殿まで。

 お使いは一日では終わらない。

 シャロの書いた手紙をもって東奔西走、縦横無尽に町以外の場所へも赴いた。

 行きたくは無いが必要だというので王都の組合(ギルド)本部まで出かけたりもした。


 成り行きで既にシャロの家に住んでいるので朝食は共にするのだが、その日は朝食後に正装させられて、強制的に神殿へと連れて行かれた。


 ジンも何がなんだか判らないが必要ならば仕方が無いと付いていく。

 基本的に何も考えないジンらしいといえばジンらしい行動だった。

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