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Chosen one   作者: 深谷マサ
3/3

嵐の予感

最後までお願いします!

同日、六時間目終了後。


結局彼は全ての試合に勝った。

試合では一人五試合ずつ行い、勝ち数、勝った相手の順位などでその週の自分の順位が決定し、発表される。

自分は131位。

彼は21位。かなり上がった。

しかし、どこか不満そうだ。

彼は今回、最初が503位だったため比較的高い順位とは当たらなかった(とは言え、50台と当たったが)為に余り順位は上がらなかったようだ。

彼は学院に一気に名が知れた。

教室に戻ってからも帰宅ギリギリまでクラスメート・・・さらには、他のクラスのものまで休みなく彼を質問攻めにしていた。

「ね~なんでそんなに強いの?!」

「前の学校はどこ!?」

「うちのパーティーに入ってくんない!?」

「なんで剣を使わないの?」

など。

彼は面倒くさがると思っていたが、そうでもなかった。

口数は少ないものの、一人一人を無下にせず。なるべく答えていた。

「私も話しかけに行けば良かったかな~」

今日で彼の性格は少しずつわかって来た。

試合前に自分を気遣っている人に心配をかけないように笑いかけたり、先ほどからの人を無下にしない態度。なかなかいい人のようだ。

ただ、試合中は声のトーンが低くなる事や、試合中に降参させるのではなく気絶させる事から勝負事には、人が変わるタイプなのかもしれない。

思いを巡らせながらリンは帰宅しようとした。

鞄を持って席を立つ。

そこで、殺意のある視線を感じて振り返った。

明らかに殺意または敵意を感じたが、

誰もいない。

気のせいかと思い歩き出す。


彼女の後ろで、影が動いた。


帰宅後、女子寮。

リンは自室に足を踏み入れた。

見回すと部屋全体が見える。

白を基本色に木の素材を多く使った家具が大半を占めている落ち着いた雰囲気の部屋だ。

鞄をベッドに置き、洗面所に向かう。

服と下着を脱いでカゴに入れる。

鏡にリンの透き通るような肌が映る。

一旦見慣れた自分の姿を見たあと、ゆっくりと風呂場に向かう。

風呂はタイマーをセットしてあったためもうわいている。

綺麗に体を流したあと、湯に浸かる。

「はぁ~疲れた~」

思わず、考えていた事が口に出る。

今日、あった事を振り返る。

最近は個人ランキングがあがってきた。試合で勝てるように・・・と、試合と言う言葉で匠の事を思い出した。

「匠くんか~強いし、性格も良さそう!ちょっとかっこ良いかも~あとは顔だね~」

「匠くんの顔気になるな~明日フードとってくれるように頼んでみよっかな~」

しかし、言うだけでやる勇気は全く無い。

「とにかく!明日は話しかけてみよう~!」

独りでに決意したのだった。


同時刻、男子寮。


匠は風呂に入っていた。

湯に浸かりながら、独りでに喋りる。

彼はどこか遠くの事を考えているようであった。

「この学院で・・・まぁ、いっか。どこでも。」

よくわからないことを口にしている。

最後だけ声が低くなる。


あいつさえ殺せるなら。


翌日、ホームルーム前。


その朝、リンは業務係(通称・雑用係)であるために担任の先生にごみ捨てを頼まれ校舎裏に向かった。

ゴミを捨て、早く帰ろうと足を進めると、ひと組の男女がごみ捨て場よりもさらに奥の林近くにいるのが目に入った。

二人はかなり近しいようだ。

カップルだろうか?

「格闘」の時間に少しだけ習った気づかれないように相手に接近するわざを使いつつ近づく。

女性の方、見知った顔だった。

リンと同じクラスの学級委員長、椿眠花。しっかり者でクラスからの信用もあつく、リンとも友達と言える間柄だ。

もう一人の方も知っていた。火月匠だ。

なぜ、あの二人が?

しばらく耳を傾けていると、微かに声が聞こえる。

ここからでは、完全には聞こえない。人の会話を盗み聞きする趣味は無いが、興味はあると言うのが正直なところだ。

もう少し近づこうかと考えていると、眠花が動いた。

彼女が彼にキスを・・・した。

リンはしばらく呆然とただただ二人を見ていた。

やっと状況が認識できた後でも、理解には程遠い。

転校して来てすぐそんな。

どうしてあの二人が?

いつから?

いろいろな考えが浮かんでは消える。

混乱する。

そのあとの事はよく覚えていない。

なぜかはわからないが、すぐにその場を離れた。これ以上ここにいるのは嫌だった。寮まで戻ると、力が抜けた。

壁に倒れかかる。背中に当たる壁の温度がいつもより冷たく感じた。










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