序章
ページを開いて頂いた方には感謝を余り書いたことがなく、まだ、未熟ですが、これからも少しずつ頑張って行きたいので応援や感想をよろしくお願いします!あ、もし何かおかしい点がありましたら、是非ともご指摘よろしくお願いいたします!
2051年 5月1日
聖春学院、桜。
桜の木のしたに黒い少年が立っている。体格、身長ともに10代の平均であろうどこにでもいそうな体つきだ。だが、彼には他の誰とも違う近寄り難い雰囲気があった。
時期からして転校生であろうか?しかし、彼の姿からは転校生の不安と期待に満ちた若者の表情は見受けられない。
しばらくして、動いた。
どうやら、やはり転校生なのか学院へ向かう。
それに呼応するかのように桜の木が風で揺れた。
同時刻、学院の一年生教室。
氷華凛譁は窓の外を眺めていた。ときどき彼女は特に意味もなく同じことをする。心地よい風が吹いて遠くで木が揺れているのがわかる。
と、そこで構想の世界に割り込む声が耳に入った。
「ねぇーリン?さっきからちゃんと人の話聞いてる?」
友達の声であった。親しい友人は彼女のことをリンと呼んでいる。単純なあだ名ではあるが、彼女は気に入っているようだ。
どうやら、友達と話している最中に他ごとに思考が移ってしまっていたようだ。失敗にきずき、謝る。
「あ、ごめん。聞いてなかった」
「もーリンってば、元々すぐぼーとするのに、最近は悪化してない!?」
「ごめんってば~。で、なんだって?」
彼女はとりあえず話を転換させることを選んで、さして興味のない話題にふる。友達は二度も言うのが嫌なのか少し面倒くさそうに言った。
「今日うちのクラスに転校生がくるんだってさ~」
「そうなの?」
適当に答えながら、考える。
そういえば、今日はいつも以上にクラスが盛り上がっている。
これが原因か。
考えていると、タイミングよく教室の扉が開いた。
「お~い、席につけ~」
立っている生徒を注意しつつガタイの良い30代の男性が入ってきた。
「今日はみんなに嬉しい報せがある。このクラスに転校生がくることになった。仲良くしてやってくれ。」
先生が扉へ催促すると、黒いフードをかぶった少年が教室に入ってきた。
フードで顔は見えない。
「火月匠です。よろしく。」
見た目よりも明るい声で、最小限の自己紹介をした。
リンは彼の顔が気になり(女子はみんなそのようだが)フードの中を見ようとした。しばらく眺めていると
一瞬だけ目があった。彼の紅い目が目に入った。その色が、人の血液のようで、彼女は偏見だとわかっていても彼に対して少し恐怖心を抱いた。
ところで、彼は漆黒の刀を持っていた。
しかし、クラスの大勢の意識はそこにはない。
それが当たり前だからだ。
この学院、この世界では全ての人間がなんらかの武器を所持している。
護身用というわけではない。治安が悪いわけではないからだ。一年ごとの犯罪件数はゼロに近い。
ならば、なぜ?
戦争がおきるからだ。
戦争と言うと、大人が殺し合いをしているイメージを浮かべるが、そうではない。戦うのはあくまで、学校・・・学生である。お互いがお互いの居場所、家、仲間を守るために戦う。それがこの時代に産まれた少年たちの宿命。
この戦争を人々は、
侵衛戦争と呼んだ。
次の投稿を楽しみにしてくれると嬉しいです!