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絶望
コツン、コツン
誰もいない静かな夜に、足音が響く。
暗闇を裂くような一筋の光が降ってきたかと思うと、遅れて雷鳴が響き渡る。
もう歌うことができない。残酷にもそう告げた医師の言葉が、私の頭から離れなかった。
それもそのはず、歌手を目指す私にとって、声を失うということは、命を失うことに等しいのだ。
せめてもの抵抗としてセカンドオピニオンを行ったが、結果が変わることはなかった。
お父さんとお母さんに話したらなんと言われるのだろうか。
優しい両親のことだ。きっと追い出すことはないだろう。
でも、歌えない私に価値なんてあるのかな?
歌が私の礎なのにそれができなくなるのなら、
きっと私に価値なんて無くなってしまう。
ねぇ、だからお願い私から歌を奪わないで。
奪っていくのならお願い。
もういっそ、、、
_して。
空は返事をするように私に向けて光を落とす。
今まで経験もしたことがない衝撃が一瞬で骨の髄まで伝わった。
そして私は痛みを感じるまもなく意識を失った。




