表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能な僕はこの世界で、精神科医の夢を見る  作者: 精神科医Tomy
The war

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

96/112

最悪に近い、事態

僕は最悪の事態を覚悟した。


最悪ではなかった。


だが、最悪に限りなく近かった。

奥の部屋には、セルトラが横たわっていた。金髪の美しい髪も、眉間にほくろのある彫の深い顔も、飄々(ひょうひょう)とした表情もいつもの通りだった。ただ、服は紅に染まり、


そして、左足が股の付け根から、無くなっていた。


「セルトラさんっ」

僕は彼に駆け寄った。彼は、小さく笑ったような気がした。

「す……、ま…ない」


「イートンに後ろから襲われて、ほんの一瞬だった。私の魔法でなんとか止血はしたんだけど、もうだいぶ出血してしまって」


リタが力なくつぶやく。こんなに気落ちしたリタを初めて見たかもしれない。

僕はセルトラの脈を確認する。微弱に触れるか触れないかといったところだ。しかし、確認している間にもどんどん弱くなっている。そして、明らかに身体が冷たくなっていく。精神科医だった僕でもわかる。


彼は、もう持たない。


どれぐらいそこにいただろうか。長かったようで、実際には数分だろう。そのまま彼は一言も発さなくなり、目から輝きが失せた。僕は彼が旅立ったことを確認すると、そっと開いたままの(まぶた)を手で閉じた。


それから静寂が訪れた。各々の作法で、きっとセルトラを弔っているのだろう。僕も両手を合わせた。


やがて、現国王陛下ボルチが口を開いた。

「さあ、計画の練り直しだ」

彼の言葉は静かだったが、わずかに震えているのが僕にはわかった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ