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無能な僕はこの世界で、精神科医の夢を見る  作者: 精神科医Tomy
The war

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91/112

パーティーの片隅で

絢爛豪華(けんらんごうか)とはまさにこのことか。大きな円卓が数百は並べられ、そこに山海のご馳走、見たこともないような食べ物がまるで美術館の展示物のように並べられている。


そして、様々な装飾品で飾られた大広間。おそらくこの城の中で、いやこの世界の中で最も広い空間なのかもしれない。そして壁紙の代わりに金箔が張られているせいで、どこまでが壁なのかよくわからず、部屋の隅々まで見渡せないぐらいだ。天井も恐ろしく高く、そこに無数のクリスタル製のシャンデリアがぶら下がっている。


大勢の人があちらこちらを移動しながら、食事を楽しみ、なごやかに談笑している。ただこのパーティーの目的は、国の命運をかけた戦いの前夜祭だ。目の前に迫りくる危機、もしかしたらここにいる多くの者は命を落とすかもしれない危機を考えると、この明るい楽し気な空気は刹那的なものだ。早い話が最後の晩餐かもしれぬのだ。


しかし、いつ何時何が起きるかわからないのは、今に始まったことじゃない。僕はこの世界に転生してから、ずっとそれを痛感していた。だから、何も考えず、今の雰囲気、食事を無心になって味わおう。


そして僕は先ほどセルトラから手渡された料理を少し口に含んだ。僕のリクエストした「肉じゃが」だ。

材料は肉じゃがに近いのだが、これはこれで悪くないのだが、何かが違う味がした。


「ね、それ美味しくないんでしょう」


ふいにレクサが僕に声をかける。いつのまにやら近くに来ていたようだ。


「いや美味しくないわけではない」

「顔に書いてあるよ。デュロはわかりやすいね」


レクサが笑う。また僕を困惑させる朋美の顔になって。


「ねえ、ちょっと外の空気を吸いにいかない?」

レクサが真顔になって僕にこう言った。僕は少し脈が早くなるのを感じた。


「いいけれど」

「じゃあこっち」


レクサは僕の手を引き、ぐんぐんと引っ張っていく。

何か話したいことでもあるのだろうか。


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