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無能な僕はこの世界で、精神科医の夢を見る  作者: 精神科医Tomy
The war

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命を、国家の存亡をかけたプロジェクト

 「皆さん、こちらを見てください。こちらが、我が国王軍が誇る、兵士部隊です」

 セルトラが手で指示した先には、無数の兵士が戦闘訓練のようなものを行っていた。多くは若い男性だが、時折女性やそれなりに高齢の者、ほぼ子供と思える者までその顔ぶれは多彩だ。共通するのは、皆筋肉質で、覚悟を決めたような眼差しを持っていること。おそらく皆百戦錬磨なのだろう。そのあまりの気迫に、レクサやルーラですら、気圧されているように見えた。


 セルトラは言葉を続ける。

「彼らの数は万を超えます。彼らとは別に、魔法使いの部隊もいます。彼らは私と、このラスト・デイズ作戦のために何年も前から準備をしてきたのです」


 恐ろしいほどの数だ。そして数年も前から。昔から、この国では異常に軍事訓練が多いと思っていたのだが、このためだったのかと納得する。そして、最大の国家プロジェクトとも言えそうなこの「ラスト・デイズ作戦」とは一体何なのか。それを考えると、体中に戦慄が走るような思いだ。


「それで、セルトラさん。ラスト・デイズ作戦というのは……」


とうとう待ちきれず、僕はセルトラに話しかける。すると、彼は唇に人差し指を当てて声を(ひそ)めた。


「ここで詳細は話せませんから、本部に行きましょう。リタさん、お願いします」


リタは小さく頷き、呪文を唱えた。

「ル・ラシド」


かくして僕たちの周りは闇に包まれ、闇が消えると同時に、薄暗い小部屋に移動していた。

そこは、5m四方程度の真四角の部屋で、壁は岩でできたブロックが積み重なっている。灯りは部屋の四隅に設けられた松明だけだ。


「ここが本部です。この国で一番安全な場所。ここにいるメンバーと、国王以外はこれません。ここに来る呪文はリタさんと国王だけが知っています。何かのときはここで話し合うことになります。そして、リタさんに何かがあったときは……」


誰かが唾を飲み込む音がした。


「臨時に選ばれた緊急事態省総督の魔法使いが、国王から魔法を教えてもらうことになります。呪文を唱えられるのは魔法使いだけですから」


今起きているのは、この国の存亡をかけた事態なのだ。当然誰かが死亡するという可能性も当然折り込み済みなのだ。それがたとえこの国最強の魔法使い、リタであっても。


「では、皆さんお待たせしました。作戦の概要についてお話ししましょう」


セルトラが(おもむろ)に口を開いた。




 

 


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