おかえりなさい
「ルーラさん」
僕は、気が付けばハンカチをルーラに差し出していた。それを見て、ルーラは手を自分の目の辺りを触れる。
「あっ、私泣いてる……」
はじめてそこでルーラは、自分の涙に気が付いたようだ。そのあとルーラは急に自分の頭を片手で抑えた。
「大丈夫ですか? 頭痛?」
かなり痛いようだ。ルーラは両手で頭を抱え、無言で小さく頷いた。しばらく押さえ続けたあと、とうとう彼女は床にしゃがみこんでしまった。
「ルーラさん、大丈夫ですか?」
レクサも、ルーラの隣にしゃがみこみ、顔を覗きこむ。
「大丈夫、大丈夫……」
ルーラはふらふらと立ち上がろうとした。慌てて僕とレクサが彼女に肩を出しだす。ルーラは僕たちの肩に両手を載せて体を支えた。その遠慮のない仕草、声のイントネーションに僕は違和感を感じた。
まさか……。
「ルーラさん、僕の名前は」
やっと立ち上がったルーラが僕の顔を見てにやりと笑う。
「知っているよ。ただいま、能無し。
いや、違った。お前の名前はデュロ。
私の、消えることのない希望」
おかえりなさい。ルーラ。




