表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能な僕はこの世界で、精神科医の夢を見る  作者: 精神科医Tomy
Home

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/113

液体の正体

以前の世界では欠かせなかった、あの調味料。

今はただのノスタルジイとなり、もはや記憶の中でしか再現できないと思いこんでいた味。


そう、これは間違いなく


醤油だ。


「こ、これはどこで」


気が付けば、僕はレクサを揺さぶっていた。僕の反応に驚いたのか、レクサは目を丸くしている。

「こ、これ、うちに昔からある調味料なのよ。これがあるだけでいろんなものが美味しくなるから、旅に出る前に持ってきたの。


 いつでも使えるよう小分けにして持ち歩いているのよ」


表情を見る限り、レクサの言葉に嘘は無さそうだった。


「実は、ルーラさんが失踪する前、街で偶然会ったの。何か考え事しているようだったから、聞いたのよ。

そうしたら『ちょっと新しい料理を考えている』っていうから、私の手持ちのショーユを渡したの」


そして、さらにレクサは驚くべき発言を重ねたのだった。


「今なんて言った?」

僕の剣幕にさらにレクサが驚いている。


「え、何って」

「ほら、コレの名前だよ」


 僕はレクサから渡された小瓶をもう片方の手で指差した。


「あ、ショ、ショーユのこと? この調味料、我が家ではずっと『ショーユ』って呼ばれていたの」


また謎が増えた。僕の知る限り、醬油に似た調味料はこの世界には存在していないはずだ。醤油どころか、そもそも大豆に該当するものがないのだ。豆の類はあるが、ただ茹でて食べるだけである。

わずかな可能性として、レクサの家庭に伝わる独自の文化に、豆を発酵させる調味料があったのかもしれない。それが偶然醤油の味に似ていたのかもしれない。


ただ、それが「ショーユ」と呼ばれているのなら話は全く違う。そんなことまで偶然一致はしない。


つまり、こいつは本物の醤油なのだ。


なぜ、この世の中に、以前の世界の醤油があるのか。そしてなぜ醤油がレクサの家にあったのか。

この謎はとても重要なものだ。もしかすると、以前の世界と、この世界を繋ぐ大きなヒントになるのかもしれない。


「ねえ、さっきから考え込んでるけど大丈夫? 私何か悪いことした?」

レクサが心配そうに僕の顔を見つめる。

「いいや、大丈夫。ごめんね」


そのとき階下から、ルーラの声が響いた。


「レクサさん、キッチン綺麗になりましたけど」





 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ