少女の正体
リタの話は驚くべき内容でもあり、そして想定できていたことの一つでもあった。クロン爺が何かを未だに隠していたことはなんとなくわかっていたし(それにしても秘密の多い爺さんだ!)、いくら才能があるとはいえ、それまで村人に過ぎなかったルーラが「伝説」になったのもしっくり来なかった。
それらが今のリタの話で理解できた。つまり、彼女たちがイートンを退治したのではなく、勝手に解決したのだ。しかし、それは以前の話で、今回はイートン達をそのままに逃げてきてしまった。この話の通りなら、僕たちはイートンをなんとかする術を持っていないということになる。
そして、一番気になるのは、少女の存在だ。
「ところで、リタさん。その少女はどうなったんでしょうか」
「わからないね。デュロ。あれから、彼女は行方知れずだ。でも……」
「さっき空を飛んでいた女性」
このセリフが思わずリタとハモってしまい、僕は苦笑した。
「そうだね。アタシの魔法でアタシたち以外の動きを止めていたのに、あの女は動いていた。明らかに只者ではないね」
そう、あの女がこの事態の鍵を握っている可能性は高い。そしてそれどころか。
「彼女が、昔の少女である可能性はありますか?」
「もちろん、そうじゃないかと思っているよ」
「まあ、とりあえず、そのことも含め今後どうするか王と話し合うしかなかろう。そのあたりのことは儂とリタに任せなさい。君はルーラを頼むぞ」
「はい、もちろんです。クロンさん」
そうか、僕はルーラとプラムに戻るのだ。彼女の身体は無事だが、残念ながら記憶が無くなってしまった。しかし、あの宿での生活を繰り返せば、記憶が戻る可能性がある。解離性障害の治療は簡単ではないが、規則正しいこれまで通りの生活を送ることで徐々に良くなる可能性がある。
「ねえ、デュロ。私、しばらくプラムを手伝ってもいい?」
イートン達から逃げ出してから、なぜかほぼ黙り込んでいたレクサが、ようやく口を開いた。




