口を滑らせたクロン
「このあと、僕たちはどうするんですか?」
「そうだな。とりあえず、一回戻るしかあるまい。そして、今日あったことをトレドの王と共有して、今後の戦略を練り直す」
「その間僕たちは……」
「うん、一緒に同行してくれてありがとう。結論が出るまで、『プラム』でルーラとゆっくりしてくれたまえ」
良かった。これで、ルーラの治療をする余裕ができる。
「まあ、イートンが、村まで到達するのにどれだけの猶予があるのかわからんが」
「イートン?」
その瞬間、クロン爺が「しまった」というような表情をしたのを僕は見逃さなかった。
「う、あの歯の化け物のことだ」
「あの不気味な魔物、名前があったんですね」
「魔物じゃないわ」
間に入ったのはレクサだ。レクサは先ほどから口数が少なく、何やら考え込んでいる様子だった。
「勇者っていうのは修行の中で、必ず全ての魔物の種類を覚える必要がある。だから私も全部把握している。でもその中に、あんな形状の魔物はいない。そして『イートン』という名前の魔物もいない」
レクサは、じっとクロン爺の顔を真剣な眼差しで見つめていた。
「え、じゃあ、どういう……」
僕は戸惑う。
「仕方ないよ。クロン。もう全てのことを話そう」
「リタ……」
そして、リタが話し出した内容は、驚くようなものであった。




