謎の光
リタが呪文をつぶやいた瞬間、化け物の動きがピタリと止まった。
どうやら、動けるのは僕達だけのようだ。
「さあ、みんな、撤収するよ」
「で、でも、ルーラさんは……」
レクサは、汗と擦り傷だらけだ。
「私が止められるのは、数分だけだ。このままだとみんなやられちまう。
一旦引き下がろう」
リタの言葉に、レクサは悔しさで顔を歪ませる。
「仕方がなかろう。もし、我々に何かがあればルーラも喜ばないだろうて」
いつの間にかクロン爺の上半身は裸だ。こんなにも鍛え抜かれた身体が、服に隠されていたのかと驚愕する。
「わかった。じゃあ、リタ俺たちを村まで運んでくれよ」
「ほっほ、ゾロ。さすがに私でもそれは無理だ。瞬時に移動させられるのは、自分だけだよ。
だから、さっさとこのポンコツ号に乗って全速力で逃げよう」
「ぬ、あれは何じゃ」
その瞬間、クロン爺が叫んだ。そして彼が指さす方向の空には、高速で移動するエメラルド色の光があった。
「バカな。今動けるのは私達だけのはずだぞ」
僕は、初めてリタが狼狽えるのを見た。
そうこうしているうちに、光はあっという間に、はるか遠くに消えてしまった。まるで僕達をあざ笑うかのようだった。
そして、僕はその光の中に見たのである。一人の人間の後ろ姿を。おそらくあれは女性だ。




