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無能な僕はこの世界で、精神科医の夢を見る  作者: 精神科医Tomy
Journey

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言い争い

「いったい、この先何が起きているんだろうな」


 ゾロが独り言のように、つぶやく。


「わからんが、大規模な良からぬことが起きていることだけは確かじゃろう」

「クロンさん、俺たちだけで上手くやっていけるのかな」


 ゾロの言葉に、しばし沈黙が訪れる。各々思うところがあるのだろう。


「皆さん、もし」


 沈黙を破ったレクサに、皆の視線が集中する。


「もし、心配なら、この先私だけで行きます」


 レクサの悪い癖がまた出ている。


「レクサ、ここまで来てそれはないだろう」

 思わず、僕は強い口調になっていた。

「でも、私は勇者です。戦いのプロです。今まで一人でやってきたし、きっと」

「何を言っているんだ。その考え方が『呪い』を生んでいるんだ。

 ちゃんと頼れよ」


 もう僕は止められなかった。


「今まで一人で生きてきたのか? ここまで君だけの力で来たのか?

 確かに君は強いよ。でも、一人では何もやっていけないだろう?

 僕も僕なりに君の治療を進めてきているんだ」


 感情の吐露に任せるまま、言葉が口から出ていく。こんなことは、この世界に来て初めてだった。

 そして、僕の言葉は、僕自身にも向けられているのだと途中で気が付いた。


 僕も勘違いしていたよ。この世界でも、僕は一人では何もできなかった。


 そして、いつのまにか、レクサはその大きな宝石のような美しい目にいっぱい涙をためて、黙り込んでいた。


 

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