言い争い
「いったい、この先何が起きているんだろうな」
ゾロが独り言のように、つぶやく。
「わからんが、大規模な良からぬことが起きていることだけは確かじゃろう」
「クロンさん、俺たちだけで上手くやっていけるのかな」
ゾロの言葉に、しばし沈黙が訪れる。各々思うところがあるのだろう。
「皆さん、もし」
沈黙を破ったレクサに、皆の視線が集中する。
「もし、心配なら、この先私だけで行きます」
レクサの悪い癖がまた出ている。
「レクサ、ここまで来てそれはないだろう」
思わず、僕は強い口調になっていた。
「でも、私は勇者です。戦いのプロです。今まで一人でやってきたし、きっと」
「何を言っているんだ。その考え方が『呪い』を生んでいるんだ。
ちゃんと頼れよ」
もう僕は止められなかった。
「今まで一人で生きてきたのか? ここまで君だけの力で来たのか?
確かに君は強いよ。でも、一人では何もやっていけないだろう?
僕も僕なりに君の治療を進めてきているんだ」
感情の吐露に任せるまま、言葉が口から出ていく。こんなことは、この世界に来て初めてだった。
そして、僕の言葉は、僕自身にも向けられているのだと途中で気が付いた。
僕も勘違いしていたよ。この世界でも、僕は一人では何もできなかった。
そして、いつのまにか、レクサはその大きな宝石のような美しい目にいっぱい涙をためて、黙り込んでいた。




