シャドウの生態
「そう、幼生。表面の膜は油と混じると溶けてしまうから、油をかけると死ぬんです」
「なるほど、なぜ、このシャドウが幼生だと?」
「それは簡単で、基本的にはシャドウは大人になったら他の生き物は襲わないんです。
シャドウがこの粘液のような状態でいるときは、生まれたばかりのとき。生まれてから一週間程度の間に、他の生き物を取り込んで擬態するの。擬態したあとは、その生き物として一生を終えます。
だから他の生き物を襲うことはない。ただ命が尽きる前に一度だけ、シャドウの幼生を生む。それがまた違う生き物を取り込む。
こうやって古代から生きてきた魔物なんです」
なるほど。これで、なぜリタが「シャドウが村を襲ったのが異常事態だ」と言ったのか理解できた。
「すると、普段シャドウの幼生は人の目に触れる機会はあまりないんだね」
レクサは頷く。
「ええ、すぐ周りの生き物に擬態してしまうので、出産のとき以外はわからなくなるんです」
シャドウの生態を考えると、これまで山の奥深くで、他の生き物に混じって生きてきたはずだ。
人里まで出てくる前に、既に違う生き物に擬態しているからだ。
そのシャドウが村人を襲った。そのことが指し示すのは、
山奥の生き物が急激に消えているということだ。




