黒い粘液のようなもの
そして、黒い粘液のようなものは空中に飛び上がって膜のように広がり、
繭のようにゾロを飲み込んだ。
「ゔ!?」
なんとも表現のしようもない声を上げるゾロ。
しかし、次の瞬間、繭は、真っ二つに割れた。
もちろん、レクサの剣の仕業だ。
どさりと空中から落ちたゾロは、痛がる余裕もなく、地面を転がってそこから離れた。
「ゾロ! 大丈夫か」
「うん、クロンさん、なんとか」
真っ二つに割れた繭は、また粘液となって一つにまとまろうとしている。
それを素早いレクサの剣がまた打ち砕く。その繰り返しが、恐ろしい勢いで続いていた。
「レクサ、これは?」
「デュロ、後で説明します。何か油のようなものありますか?」
「油!?」
僕は困って、ゾロの顔を見た。
「油なら、灯り用のなたね油があるぞ」
ゾロは、そう言いながら、ゾロゾロ号の後部に向かった。
「どれぐらいいるんだ」
「えっと、とりあえずそれ全部」
ゾロのほうを片目で確認しながら、レクサが言う。
ゾロは一抱えぐらいの大きめの壺を持っていた。
「全部!?」
僕はとりあえず走ってゾロのところまで行き、壺をひったくるようにして取り上げた。そしてレクサの近くまで運ぶ。
「油をこいつにぶっかけてっ」
レクサは半分叫ぶように僕に言った。その勢いに押されるように、僕は壺の中身を黒い粘液にかけた。
一滴も残らず。
ブシャアアアアアアアアアアアアアアア
宙を舞う油の塊と、黒い粘液のようなもの。それらは渾然となって液体となり、そのまま地面に落下した。地面には、タールの水たまりのようなものができ、もうピクリとも動かなかった。
「ありがとう。デュロ。もう大丈夫です」
「これは、一体……」
「デュロ、こいつはシャドウの幼生よ」
「シャドウの幼生?」




