異変の真実
レクサは続けた。
「おそらく、山の奥で何かが起きています。そして、その異変から、魔物や野生生物が逃げているのです」
レクサの答えは、僕の考えと同じだった。
「その異変とは何じゃな?」
「わかりません。最初大規模な山火事のようなものかと思いましたが、それならば赤く燃える空や煙、臭いなどで私達も気づくでしょう。
だからもちろん山火事ではない。でもこれだけ無数の魔物がいっせいに行動しているところを見ると、かなりひどい事態になっていると思います」
ゾロがごくりと唾を飲む音が聞こえた。
「で、俺たちは魔物たちが逃げている『何か』に、今近づいていこうとしているわけだ」
「そうですね。でも、もし……」
レクサが、急に警戒したような目つきになる。ただその視線の先には何も見当たらないように見える。
「どうした?レクサ」
「デュロ、何かがいます」
再び皆の周りに、緊張した空気が漂う。
そして、小さな気味の悪い音。よくよく聞けば、何かがはいずりまわっているような、鳥肌が立ちそうな不快な音だ。
「どこだ」
誰かが思わず叫ぶ。
「シッ、皆そこから動かな……」
レクサの言葉が終わる前に、森の闇の奥から、何かが飛び出してきた。
よく見るとそれは、直径1mほどの、真っ黒な粘液の塊のようなものだ。
「うへ、気持ち悪い」
ゾロがつぶやいた。




