プラムの涙
こうして、僕たちはルーラを捜す旅に出ることになった。旅に出る前に、僕はルーラの宿に戻り、ありったけの食料、水、そして薬調合用の、あるいは憂さ晴らし用の酒を持ち出した。さらに、「臨時休業中」の札を適当に作り、「プラム」の入り口にぶら下げた。
ぶら下げる瞬間、ふと気が付いた。
そういえば、記憶にある限り、ルーラは一日も休まなかったな。
僕も充分にこき使われはしたものの、ルーラとてさぼっているわけではない。お互いの姿を見る時間もないほどそれぞれ動き回っていたのだ。そうやって何十年もルーラが切り盛りして、出来上がったのが「プラム」なのだ。
今この宿は長年の主と、客の賑わいを失い静まり返っている。
待ってろよ。また、あの日々を取り戻してやるからな。
そう誓う僕の脳裏には、過去のシーンが次々と無声映画のように映し出されていた。埃だらけの屋根裏部屋、夜の酒場に集う人々。そして、僕がこの世界に転生する前の、精神科医だった時代。ボタニカル柄の壁紙。小さな冷蔵庫。付箋だらけのカレンダー。チャーミングで、いたずら好きな朋美の様々な表情。
絶対に取り戻してやる。
絶対に。
「プラム」にも、僕自身にもそう言い聞かせ、僕はゾロゾロ号に向けて歩き出した。そのタイミングで、頬に冷たい刺激を感じ、僕は空を見上げた。久しぶりの雨。まるで「プラム」が寂しがって泣いているように思えた。
ゾロゾロ号に着くと、他の皆は既に集合していた。
「おお、デュロくん遅いぞ」
「すいません、クロンさん」
僕がシートに座ると、クロン爺が「計画」について話し始めた。




