リタの本当の姿
レクサの顔色を確認している僕に、リタが興味深そうに声をかけた。
「それは、回復魔法の一つかな? 見たことがないが」
「いえ、まあ、回復魔法といえばそのようなものかもしれません」
この世界に「精神疾患」という概念はない。説明をしたところで誤解を招くだけだろう。
「レクサは、呪いか何かにかかっているのか」
「うん……、そうですね」
リタは何か思うところがあるのか、少し考え込む。そこにクロン爺が割り込んできた。
「リタさん、おぬしそんなに魔法が強いとはな。ゾロからそんな話聞いたことなかったわ」
「いや、俺だって魔法使えるなんて知らなかったんだ」
いまだに顔がぐしょぐしょなゾロも、鼻水だか涙だかを飛び散らせながら会話に入り込む。
「まあ、今まで必要がないから言わなかっただけだ。こんな能力は不用意に言うものじゃない」
「どうだい。そんなに魔法強いのなら、ルーラの捜索にお前も来いよ」
「いや、私は同行できない」
無碍なく断られ、わかりやすくゾロが落ち込んだ顔をする。普段妻の悪口を言ってばかりの癖に、本当はぞっこんなのだ。良くある話だ。
「シャドウがこの村に入り込んで、人を襲った。これまでそんなことは無かった。何かが起きている可能性がある。私は、トレドの王と、このことについて話し合わねばならない」
「王!? なぜ、お前、王様と面識があるのか?」
ゾロがまた何かを飛び散らせながら叫ぶ。
「リタおばさまは、『緊急事態省』の魔法部トップなんです」




