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音の正体
僕は、クロン爺の視線の先に目をやった。そこにあったのは「新幹線」だった。
しかも、卵のような、ウルトラマンの顔のような、初代新幹線だ。
いやいや、そんなはずはない。この世界に新幹線があるはずがない。
僕は、目をこすって、もう一度よく見てみた。
確かに新幹線の先頭に似ているが、その躯体はつぎはぎの金属の板で作られていた。さらに馬車のような大きな車輪が四つ。上方には小さな煙突がついていて、そこから煙のようなものが出ている。
そして、自転車ぐらいのスピードで、僕達のほうまで近づいてくると、「新幹線」は急に金属をひっかくような音を立てて止まった。
「これは何ですか?」
レクサが困ったような顔をして僕を見る。
「さあ………」
がこん。
そのとき「新幹線」の扉が急に開いた。中にいたのは、
「ゾロさん!」
「いやあ、どうもどうも」
ゾロのおやじが、頭をポリポリ搔きながら降りてきた。




