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無能な僕はこの世界で、精神科医の夢を見る  作者: 精神科医Tomy
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ルーラの行方

 ルーラが行方不明であるという情報は、あっという間に村中に広がった。村人という村人が、各々の店を閉め「プラム」に集合した。あれだけぶっきらぼうで口数も少ないのに、誰もがルーラのことを慕っているようだった。集まった面々にはレクサや、ゾロ、「メイラ」の店主もいた。


 そして、司令塔となり、的確に指示を出していたのはクロン爺だった。普段のフラフラした様子とは全く違い、彼は本当に恰好良かった。


 「ルーラ、ルーラああ」

 「ルーラさん、ルーラさああああん」

 


 村総出で、村の隅々、村の近所のエリアまで、夜を徹して捜索が行われた。


 しかし、ルーラは見つからなかった。気が付けば、皆の手ににぎられたたいまつの灯は消え、代わりに太陽が昇り始めた。


 それを見て、僕と行動を共にしていたクロン爺はがっくりと、大きな石の上に腰を下ろした。クロン爺の足腰はだいぶ弱っているにも関わらず、今まで気力で動かしていたのだろう。


「ルーラさん、どこにいるんだろう」

 僕はつぶやくように言った。


「もしかすると、だいぶ遠くの方まで行っているかもしれんな。『プラム』につないであった馬が一頭いなくなっていただろう」


「すると、もっと捜索の手を広げないといけないですね。森のほうとか」

「いや、そこまで手を広げるとなると、村のみんなでは無理だな。森は危険だし。皆の生活もある」


「じゃあ、どうすれば………」


 僕もクロン爺の横に座り込んだ。一気に疲れが、体中の細胞から噴き出すように感じられる。ぼんやりとした頭の中で、ルーラの豪快な笑顔が浮かび上がった。


 しばらくの沈黙を破ったのはクロン爺だった。


「ルーラがどこに行っているのか、実は心当たりがある。確信はないが、行くとしたら多分………」

「じゃあ、そこに行きましょう!」

 僕は思わず、彼の話を(さえぎ)るように言った。


 クロンが首を横に振る。

「いや、そこはかなり危険だ。キシル山脈の中にある、レスリンの泉」

「レスリンの泉? あの伝説の。本当に存在するんですか?」


 なんでも、その泉につかると、ありとあらゆる病が治るという。たまに店に来る男達から噂を耳にしていた。


「存在します」

 急に後ろから声がして、振り向くとレクサだった。



 

 

 





 

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