突然の来客
最初の一口はゆっくり味わっていたが、その後気が付くと、僕は無我夢中にになってルーラの料理を腹に詰め込んでいた。
詰め込みながら、僕はルーラのことをずっと考えていた。
ルーラが、居候の僕が自分より後に起きるのを許してくれたこと。
毎朝朝食を持って起こしにきてくれたこと。
口は悪いが決して手を挙げなかったこと。
身よりもなく、辛そうな僕が余計な事を考えないために、仕事を与えてくれたこと。
一つ一つの家事や雑用を、「どうしたら効率よく上手にできるか」さりげなく教えてくれたこと。
本当は僕も心のどこかでわかっていたのだ、彼女が優しいということに。
ただ、それを素直に表現できるほど器用じゃなかっただけなのだ。
そして僕は頬が濡れるのを感じた。
濡れるぐらいじゃなく、顔は涙できっとぐちゃぐちゃになっていたことだろう。
そして、記憶にある限り、この世界に来てから泣いたのは初めてだった。
「あの、ちょっといいかな」
そんな思考の波を、突然の声が中断した。僕はとりあえず顔をぬぐって、立ち上がった。
宿の受付の方からだ。
「はい、少々お待ちください」




