女勇者の過去
私は、元々この村の出身じゃないんです。ずっとずっと南、キシル山脈も超えてさらに南にあるミルタザの村出身で。ミルタザは漁師町で、私はそこの魔法使いの娘として生まれたんです。両親は、あまり記憶に残っていないけれど、二人ともとてもいい人だったと思います。お金はないけれど、優しくて、みんなから慕われて。私もとても大切にしてもらいました。兄弟は、3つ下の妹がいたんですけど、今どうしているかわからなくって。
というのも、私が7歳のときに、街に魔物が侵入してきたんです。そして私の家族は、私だけを残して皆魔物にさらわれてしまったんです。昔のことだから、記憶は断片的ですけど。確か、妹の誕生日か何かでお祝いしてた気がします。両親が奮発して、滅多に食べたこともない七面鳥の肉を焼いてたんです。私「お肉が食べられる」っってはしゃいでいたのを覚えてます。でも多分、その匂いに魔物が釣られてきたんじゃないのかなって思うんですよね。
お祝いが終わって、灯りを消して寝ようとしたら、大きな物音がしたところまでは、何となく覚えています。気が付いたら私は大声で泣きながら、家の前でウロウロ裸足で歩いてました。そこにおばさん、お母さんの妹に当たる人が駆け寄ってきて、ギュッと抱きしめられました。入り込んだ魔物は私の家族をさらっただけでなく、町中を壊して、他に3人の命を奪っていったようです。
そのあと私はおばさんに引き取られたんですけど、おばさんには夫と溺愛する二人の息子がいるんです。最初は同情で優しくしてもらえたけれど、徐々に疎んじられるようになってきて。それに私の家族は、あの事件のあと、他の住民にも悪く言われるようになりました。あいつらが魔物を呼び寄せたんだって。
だから、私は勇者になることを選んだんです。多分もう生きてないでしょうけど、私の本当の家族を見つけに行きたかった。他の勇者のパーティーに入ることも考えたけれど、私魔法使いの娘なのに、魔法は全く使えなかったんです。それに私は嫌われ者だし。だから必死になって、村周辺の弱い魔物狩って鍛えていました。一人で。
あの家を、あの村を出たい。私の家族につながるものを探したい。その一心でがんばってたら、気が付いたら私、だいぶ強くなっていたようです。一人で戦いながらこの村まで来ました。この村では、古くなった装備を一新して、休憩してすぐ出るつもりだったんですよ。
でも、村から出たとき、私にある異変が起きたんです。




