表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能な僕はこの世界で、精神科医の夢を見る  作者: 精神科医Tomy
New World

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

114/118

セナと朋美

セナは、しばらく沈黙を保っていた。僕も言葉を発しなかった。

やがて、この場そのものが、彼女の言葉を待っていた。


「……私ね」


ようやく、声が落ちてくる。


「子供の時、思ってしまったの。――全部、壊してしまえばいい、って。

 だから、計画を立てたわ。

 両親と私が、魔物にさらわれたことにする事件」


 淡々とした口調だった。


 けれど、それは“冷静”ではない。

 何度も自分に言い聞かせてきた声音だった。


「だから、本当は魔物なんていなかった」


 セナは、こちらを見ない。


「私が、リンクを作ったの。

 新しい世界へつながる道を」


 胸が、ぎゅっと締めつけられる。


「そこを通って、私と両親は――隠れただけ」


「……じゃあ」


 言いかけて、言葉を止めた。


 セナが、先に続きを告げる。


「死んでないわ。

 両親は今も、生きてる」


 その言葉に、安堵が混じるより先に、僕は別の感情が湧いた。


「新しい世界でね、両親は“両親”として生きることを選んだの。いや選ぶしかなかったの。

 なぜなら、そのときはじめて気がついたから」


 セナの声が、少し震えた。

「この道は、一方通行だって」


 しばらくの沈黙。


「そして」


 声が、ほんの少し柔らぐ。


「新しい世界で、私は医者になった。そこで……昇に会った」


 視線が、初めてまっすぐに僕を捉える。


「そして、あなたに恋をした」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
恋に落ちて幸せを与えてくれた人が、黒幕だったとは… セナのした事は許されることではないけれど、怖い存在や不便のない世界で、幸せに過ごして欲しいと思います。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ