レクサの妹、セナ
「なるほど、ではレクサ君。なぜ君の妹はこんなことをするのだ」
それまで黙って話を聞いていたボルチ陛下が口を開いた。
「それは……」
レクサは急に俯いて黙り込んだ。しばらくの沈黙の後、レクサは意を決したように顔を上げた。
「多分、セナは私のことを憎んでいるのだと思います」
「憎む? なぜだね」
「セナは感情の起伏が激しい子でした。そして、感情が高ぶると魔力がコントロールできなくなり、様々なものが破壊されました。魔法の才能があるセナのことを、両親は最初喜んでいましたが、徐々に怖れるようになったのです。
そして、腫れものに障るように扱うようになった。言葉では優しく接しますが、単に怒らせまいと怖れていたのです。一方私は、そんな妹がかわいそうで、姉として極力心から支えようとしたつもりでした。
そうすると、両親はますます私に頼るようになり、セナはそんな私に八つ当たりするようになりました。そんなある日、両親とセナが魔物にさらわれるという事件が起きました。実は噂では、セナが仕掛けた事件なのではないかと言われています」
「え、そうだったのか」
僕は、驚き、思わずつぶやいた。以前彼女のカルテを作るときに、そんな話は出てこなかったから。
「デュロ、ごめんなさい。全部伝えてなくて」
「その噂について、レクサ君はどう思っているのか」
「はい、陛下。私は」
「私はその噂は真実だと思っています」
急に皆が静まり返る。まるで雪が積もった朝のように。
「なぜなら、本当に魔物が襲ってきたのなら、セナなら退治できるはずだからです。
退治されなかったということは、彼女がわざと魔物の好きにさせた。もしくはわざわざけしかけた。
そうだとしか思えないのです」




