Aの正体
妹!?
「ちょっと待ってくれ。君の妹って死……あ、いや、ごめん」
レクサは少し悲し気に首を振った。
「ううん、いいの。確かに私が子供の頃に魔物に両親と共にさらわれていった。だから私は勇者になった。でも可能性は低いとはいえ、まだ生きている可能性はあると思っているわ。特に妹に関しては」
「でもその根拠は?」
「キシル山脈で初めてAにあったとき、後ろ姿から『なんとなく妹では』って思ったの。勘というやつね。
でもそれだけじゃない。私の両親は強力な魔法使いだった。そして、妹が生まれたとき、恐ろしいほどの魔力があって、村中で話題になっていたの」
「え、もしかすると、君の妹は、『ミルタザのセナ』?」
それまで僕らの会話をじっと聞いていたリタが、割って入った。
「そうです。リタさん。よくご存知で」
「実はその噂は私の耳にも入っていたのだよ。そして、こっそり偵察にいったのだ。セナがまだ赤ん坊だったときにね」
「え、そうだったのですか?」
レクサの大きな瞳がさらに大きく開かれた。
「まあ、私はこの世界の魔法界を取り仕切る立場でもあるからね。それぐらいのことはする。
そして、驚いたよ。確かに君の妹は、恐ろしいほどの魔力があった。私よりもはるかに強い魔力だった」
リタよりも、はるかに強い……!?
「だから、Aはセナかもしれない。もし私の魔法を封じることができる能力の持ち主がいるとすれば、それは私の知る限りセナだけだ」
レクサは頷いた。
「そうなのです。だから、おそらくAは私の妹。セナ」




