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[03]月美&舞編

 影山月美。木村舞。産まれながらにして、数奇な運命で結ばれた二人。これは、影山月美がまだ金城月美として生きていたときの物語。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


 月美、仁美、愛の三人は金城家当主(愛と仁美の父)、金城一政に呼び出されていた。彼の隣には、夫婦と思われる男女と、その娘と思われる、月美と同年代であろう少女。


「この人達は?」


「千歌の友人とその一家だ。」


 これが、月美と舞の出会いだった。どうやら舞の両親が共働きしている為、幼稚園から帰って来た際に家に一人きりになってしまう。なので幼稚園が終わってから仕事が終わるまでの間、舞のことを預かって欲しいとのことだった。


「舞に過ごしてもらうはずの位置的に、主に月美と関わることになるだろうが。一応三人共、顔を覚えておくように。」


 そう締めくくり、一政はどこかへ行ってしまった。


「じゃあわたしたちも。いこ、ねぇさん。」


「うん。じゃあ、またねぇ。」


 そう言い残して、仁美と愛も一政が向かった方向に去って行った。


「…これからよろしく。かえるならあんないしようか?」


「ありがとう。でも大丈夫だよ。これから舞のこと、よろしくね。」


 そんな舞の母の返答に、月美は無言で頷いて返した。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


 月美と舞との出会いから数ヶ月後。二人は長い時間を共にし、親交を深めていた。一政の言っていた通り、舞が仁美や愛と関わる機会はあまりなかった。特に仁美は、二人が遊んでいる場所に通りかかったら無視してどこかへ行ってしまったため、尚更関わりがなかった。


「きーちゃん。わたし、ここにいないほうがいいのかな?」


 月美は、すぐに答えることは出来なかった。自分としては、舞に近くにいて欲しい。ただ、他の金城家はどう思っているかは分からないし、仮に良く思われていなかったら舞自身に危害が及ぶ可能性がある。そんなことを考えていると、後ろから足音。


「月美ちゃんは、どう思うのかしら?」


 振り返ると、そこには金城千歌がいた。金城千歌。金城一政の妻にして、金城愛と金城仁美の母親。


「…わたしは、まいといっしょにいたい。」


「素直でよろしい。まだ子供なんだから、今はそれだけで良い。そう深く考えなくて良いのよ。」


 そう言いながら千歌は月美の髪を優しく撫でると、次は舞の髪を優しく撫でた。


「舞ちゃんも。そんなこと考えなくていいのよ。舞ちゃん呼んだのは私なんだし。ね?」


 千歌がそう伝えても舞は腑に落ちない様子で。


「何が不安なの?私にで良かったら教えてくれないかな?」


「だって…つきみちゃんしか…」


「あー…そういう。まぁ、あの娘らはわざわざこっちに来ないわよね。愛とか仁美とかが遊びに来ないから歓迎されてないんじゃないかって不安になったのね?」


 舞が小さくうなづく。


「そんなこと気にしなくて良いのよ。良い?この家は門から近い位置にある、舞ちゃんみたいな外客を迎える為の表館と、金城家の中枢の人しか入れない裏館ってのがあるの。あの娘達はあんまり裏館から出たがらないから…ごめん。分かりにくかったわね。とにかく、あの二人がこっちに来ないのは舞ちゃんのせいじゃないから心配しなくてよし‼︎良いわね?」


 舞は疑問符を頭に浮かべながらも、とりあえず頷く。


「じゃあ私はそろそろ出かけるから。二人共、仲良くね。」


 そう言い残し、去っていく千歌。彼女の後ろ姿を見つめながら、舞は月美の手を握る。


「まい?」


「つきみちゃん。ずっと、いっしょにいようね。」


「そうだね。」


 ずっと一緒にいれる自信など、月美には無かった。ただ、千歌が今は深く考え無くて良いと言ったから。一緒にいたいという思いを込めて、悩まずに返した。

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