閑話 治癒の聖女アイカ
わたしの名前は田中愛花、高校3年18歳
このライゼバルト国では「治癒の聖女アイカ様」と呼ばれ、みんなに愛され傅かれているわ。生まれつき愛くるしい美少女に生まれたわたしは、日本にいたときは有名なお嬢様学校に通い順風満帆な人生を謳歌していた。欲しいものは大抵は手に入ったし、正直、人生イージーモードで楽勝じゃんと思っていた。
でもそんな私にも手に入らないモノがあった。それは、「乙女ゲームの世界に異世界転生して逆ハー」する夢だ。だから今回の異世界召喚は「転生ではないけど、聖女として召喚されるなんてついてるわ、ラッキー!」って思った、嬉しくてたまらなかった。
「王子の妃候補として聖女召喚って、まさか乙女ゲーの世界に異世界召喚されたのかな私たち?」
「違うよまゆり。聖女モノで王子兄弟キャラ4人登場して、ライゼバルト国なんてゲームやったことないもん」
「ねぇ、まゆりは第一王子と第二王子どっちが好み?」
「ちょっと冷たそうで陰のある美形、第二王子がドストライク!!」
「よかった好みのキャラかぶらなくて~、じゃ、わたし第一王子をもらうね」
一緒に異世界召喚された女子高生のまゆりとは、乙女ゲーム好きで共通の話題があり、すぐに仲良くなった。何よりよかったのは「王子の好みのキャラ」が被らなかったことだ。まゆりは一目みて、「第二王子好み~!」と目をハートにしていた。
「まぁ、私の邪魔さえしなければ、まゆりとは今後も仲良くしてあげてもいいわ」
わたしは顔は第一王子と第二王子どちらも好みだったが、次の王になる王子と結婚したほうが、よりいい暮らしができてお得だと思った。だから即、第一王子をターゲットにした。
ブサイクでキモイ第三王子以外なら、ショタ美形の第四王子でもどれでも美味しく頂ける、私のストライクゾーンは結構広いのだ。
第一王子が王位を継ぐと決まってなかったのは、後で知った。聖女召喚されてすぐに、4人の王子の中から選らばなければならなかったのだ、情報がないのだから仕方がない
「はぁ、乙女ゲーの世界への転生なら、先の展開がわかってチートヒロイン無双できたのに~!」
「ふふ、でも早速、役にたったわ」
いつ、異世界転生してもいいようにカーテシーを練習していたのだ。聖女モノの乙女ゲーは網羅していた。悪役令嬢モノも好きだが、一番好きな設定は聖女がハーレム無双する展開だからだ。
「それにしても、あのデブスを第一王子の婚約者にと枢機卿が言い出したときは焦ったわ。私の計画が狂うところだったじゃない!」
イラッとして思わずデブスをガン睨みしてしまい、地の顔が出てしまったけど、幸い誰にも見られてはいなかったようだ。でも安全のために、第一王子を上手に誘導して、あのデブス聖女が飢え死にするように仕向けておいたわ。後で能力開花とかされたら、私の計画が狂うし邪魔になるからね。
「・・・それにしても第一王子のハルト様は顔はいいけど頭はちょっと残念ね。まっ、いいわ、だからこそ扱いやすいもの」
上機嫌でニヤリとし、黒い醜悪な笑顔を浮かべる聖女アイカ。
「はぁ~私って可愛いだけじゃなくて頭脳も優秀~!。ああ、楽しみだなあ~、わたしがヒロインでわたしがこの国の中心よ、もう素敵なことが起こる未来しか想像できないわ~♪」
本編とは別の「治癒の聖女アイカ」の閑話になります。
閑話まで読んでくださりありがとうございます。次話からは、また本編になります。