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僕とロボット

作者: とーろう

初投稿です

僕には昔ロボットの友人がいた


ロボットには性別は無いが便宜上「彼女」と表記しよう

彼女はよく喋るロボットだった。今日はいい天気だね、花が綺麗だね、猫がいるよ、等といった他愛のない事をとても素晴らしい事のように僕へ話していた。

僕もそれらの話を楽しんで聞いていた。傍から見ても僕達はとても仲のいい交友関係だったと思う。

ある時。僕は家の都合で別の町へと行く事となった。その事を彼女に告げようと思っていたが、告げるに告げずとうとう言えずに彼女に黙って引っ越すこととなってしまった。


僕はその日から罪悪感から少しでも逃げるように彼女の事を忘れようとする。それでも、彼女の事はいつでも頭の中にあったのだろう。気づけば僕はロボットの修理工の職に就いた。

やがて腕も上達していき、1人で仕事を任せられるようになりそろそろ独り立ちするとなった時。その職場での最後の仕事が彼女のいる町だった。

忘れかけていた日々が思い起こされた。しかしどこか他人事のように思え、それが嬉しくも悲しかった。


町へ着く。依頼人のいる場所へと向かう。

そこはその町の町長の住む家だった。ベルを鳴らすと中から家事ロボットが出迎える。そのまま修理するロボットのいる所へと案内される。

どうやら修理対象はもう一体の家事ロボットのようだった。作業を進めている間、僕は彼女の事を考えていた。今は何をしているのだろう、どこに居るのだろう。まだ僕の事を覚えているだろうか、黙っていなくなったことを許してくれるだろうか、といった様々な思いが頭の中を駆け巡った。

やがて作業が終わり、報告のため町長の部屋へと案内された。

中は華美では無いが、どこか高級感に溢れた内装だった。報告をしながらも、ほうと貧乏心のためか部屋の中を見回してしまう。



だが、そこで目をみはった。

変わり果てた彼女がいた。体は退廃的な改造を施され腹部には「契約者以外使用禁止」と書かれていた。

僕はそこから何を言ったか、何を聞いたか覚えていない。しかし、気がついた時、僕は彼女を引き取っていた。朧気に覚えているのはもう動かない、いらない、欲しいならやる、といった断片的なものだけだった。

僕はそのまま家路へとついた。この後彼女をどうしようか。元の体に直すかこの状態のまま動かすか、それともかつての思い出のまま彼女を葬るか。

もし起こしたとしてだ。彼女は僕のことを覚えているのか?かつてと同じ言葉を言ってくれるのか?

僕は何もわからない。



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