第五話 契約魔神と竜
魔王の後継者になるにあたって少しでも多く修行をするため、ディルの住処で共に暮らしている。
そんなある日の朝、最近ディルと決めた朝食当番をこなしている時のこと。
「レーン、いるか。」
ソファーに座っていたディルが突然独り言を始めた。
「ディル、どうかしたんですか?」
「ああ、契約魔神が使いから帰ってきてるはずなんだが見当たらなくてな。」
「契約魔神?」
すでにディルと共に過ごして数日が立っていたが初めて聞いた言葉だった。
「そんなのがいたんですか?」
「ああ、まぁ、喋らないお手伝いさんみたいな感じだ。」
「魔神は見ようとしないと見えないものだ。シロネも探してくれないか。」
「はい。」
意識して探しているとソファーの下から何かがこちらを除いているのが見えた。
「もしかしてこれですか?」
「こんなところにいたのか、こいつ、久しぶりに家に誰かがいたからびっくりして隠れてたんだな。」
ソファーの下からふらっと出てきたのはよくお化けなどと一緒に出てくる火の玉のようなものだった。
「そんなところにいたのか。」
「よく帰ってくれた、お帰りレーン。」
「お使いって何をしに行ってたんですか?」
「契約魔神とはこの世界の習わしでは先人が後を継ぐ者に代々受け継ぐものなのだ。こいつにはそのために必要な魔石を取りに行ってもらっていた。」
「そうなんですか。じゃあこの子はこれから私の契約魔神になるということですね。」
「そういうことだ。まあ、喋らないが便利な奴だ、大切にしてやってくれ。」
そういうと魔神がとってきた魔法石をディルが魔法で作った腕輪にはめ込んだ。
そして、魔導書の契約の時と似た要領で魔法石に私の血と今回は魔神の魔力を刷り込んだ。
「こいつに名前を付けてやれ。お前の相棒になるやつだからな、いい名前を付けてやるんだぞ。」
「それじゃあ、フォール。」
その直後、魔法石が赤色に光りこの世界の言葉で生涯永劫の契約と腕輪に刻まれた。
そして、さっきまで火の玉だったフォールは竜の子どもに姿を変えたのだ。
「どうして、竜に...。」
「契約者が変わるたびに姿かたちが変わる。それが魔神だ、だが竜種になるとはな。驚いた。」
「キュッ」
フォールは驚いたシロネをさらに驚かせるかのように鳴いた。
「こいつ、喋るのか。知性の高い魔神は喋ると聞いたことはあるがまさか実在していたとは!」
「かわいい...。」
「フォールはシロネが成長するにつれ共に成長する。つまり、相棒ということだ。」
私の相棒、ずっと一人だった私にできた二人目の、友達...。
「うれしい。」
そして、私とディルとフォールの生活が始まった。
どうも、小説家になろうで投稿させていただいています。初心者ライターのかぼちゃパイです!
本日は時間があったので二話投稿させていただきました。
やっぱり異世界転生ものには相棒が必要ですよね。ね!
これからもできるだけ早い更新を目指して頑張っていきます!