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独立行政法人人物価値選定所  作者: レイジー
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事件発生「8聖人が動きやがるな・・・」

 この日、昼休憩が終わった選定所内では午後の仕事を始める職員達が続々と自席に着き始めていた。

その中にザキルの姿もあり、続けてカレンが姿を見せる。


「ザキルさん、お疲れ様です!コーヒー要りますか?」

「あぁ?何だ急に」

「えへへへ。さっき自動販売機で当たりが出たんですよー。なので良かったらと思ってぇ~」

「っは。そんな事くらいで随分ご機嫌じゃねぇか。相変わらずめでてぇ女だな」

「人生明るく前向きにです!」

「そこに置いとけ」


 するとザキルのPCに1通のメールが着信した。

それは所内への全体メールであり同じ内容のメールが他職員にも到着していた。

メールを開き黙読したザキルは驚く表情を見せた。


「何!?」


 所内のあちこちらからも同じ様な声が聞こえてき始めた。

気になったカレンはザキルのPCを覗き込む。


「え?何ですか?どうしたんですか?」


 カレンもそのメールの内容に目を通した。するとカレンもまた驚きに表情を広げる。


「え…。少女強姦!?トクシュウって、あの製薬会社の…?」

「こりゃ8聖人が動きやがるな…」


 そのメールに記載されていたのは有名製薬会社のCEOにして開発主任であるトクシュウという男が16歳の少女を強姦した事件の詳細と選定所職員に対する臨時業務の命令内容だった。


「トクシュウって、確か動脈硬化の特効薬を開発した人ですよね?」

「あぁ。やってくれたぜこの野郎。まさか査定時期直前にこんな事件起こしてくれやがって…」

「えぇ!?この人査定近いんですか?…ってことはその査定内容が裁判とかにも大きく影響するってことですよね?」

「下手な査定かましやがったら世間から叩かれるどころじゃ済まねぇぞ。それにこれだけの世間に影響を与えたビッグネームなら8聖人の連中が動きやがる」

「あ、あの。その”ハッセイジン”って何なんですか?」

「あぁ?知らねぇのか?説明してなかったか?」

「あ、はい。多分」

「俺達選定所は大きく分けて4つの階級に分かれてる。レベル1は俺達みてぇな雑用。レベル2は一般大衆を査定する連中。そしれレベル3が通称"8聖人"って呼ばれる連中だ。上流階級や世間的に強い影響力を持つ連中の査定を行ってる。その名の通り全部で8人いやがるらしい」

「す、凄い人達なんですね!で、でも4つってことは更にその上がいらっしゃるってことですよね?」

「レベル4は"エヴァンゲリオン"って呼ばれる連中だ。詳しい事は知らねぇが、国や外交を動かすほどの影響力を持った連中を査定するんだとよ」

「えぇぇぇ!そ、そんな凄い人達がいるんですね!」

「まぁ今はそんな事どうでもいい。とにかくこりゃ荒れるぜぇ…」

「ザキル!」


 突然名前を呼ばれたザキルは声のする方向を振り向いた。

そこには慌しい様子のミラージュが立っていた。


「メール見たか?」

「おうよ。こいつぁ面倒な事になりそうだぜ」

「その通りだ。早速で悪いが、カレンと一緒に行って来てくれるか?」

「…っち。仕方無ぇな」

「すまないな。本来お前達にさせるべき仕事じゃないが何せ人手が足りない。私等もこれから不眠不休だよ」

「無理すんなや。やせ我慢してっと生理遅れるぜ?」


”ドゴォ”


「ぐぉぉお!!!」

「っひ!!」


 ザキルのひと言を受けミラージュは瞬時に構えを取りザキルのどてっ腹に渾身の蹴りを叩き込んだ。

痛みに悶え苦しむザキル。

それをカレン始め他の職員達は驚愕した表情で見ていた。


「うがっ…。て、てめぇ…」

「ザキル…先輩セクハラするたぁ相変わらずいい度胸だな」

「ミミミミ、ミラージュさん!!す、凄いぃ!な、何か格闘技とかやってたんですかぁ?」

「これでも元ムエタイのチャンピオンでね。まだ腕、いや、足は鈍ってないみたいだな。どうだザキル、久々の一発は?」

「こっ、この女ぁ…」


 2人の昔を知る職員達は懐かしそうな言い草を見せる。


「何時見ても惚れ惚れするねぇ。ミラージュさんの蹴り」

「本当ね。ザキル君も頭上がらない訳よねぇ」


 そしてミラージュは何事も無かったかの様にカレンにひと言言い残しその場を去って行く。


「それじゃカレン、その馬鹿連れて行って来て来てくれ」

「え?え?えぇ?えと、あの、ど、どこへ…?」


 やがて呼吸が整い始めたザキルは体を起こし先程カレンが持ってきた缶コーヒーを一気飲みすると怒り眼でぼやく。


「あの女ぁ。いつかバラす…」

「あ、あの、ザキルさん?行くってどこへですか?」

「あぁ?決まってんだろ。そのレイプ野郎の所だよ」

「えぇぇ!?」


 こうしてザキルとカレンは車に乗り込み拘置所で事情聴取を受ける強姦犯トクシュウの元へと向かって行ったのだった。

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