表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

片思い


突然ですが私、小柳こやなぎ 智里ちさと17歳は初恋をしています。


通勤・通学ラッシュ時のバスの中

私の目の前で吊革に掴まり

ただ窓の景色をぼぉ~っと眺めている

たぶん私と同じくらいの歳の彼です。


出会いは1年とちょっと前。

受験で受かった実家からは少し遠い距離にある高校

三月みのつき学園高』に通うため

初めてバスに乗った時

まさに今と同じ状況で彼に会ったのです。


一目惚れでした。

ドキドキを通学の度に感じながら

それをず~っと今まで続けているというわけです。


こんな私を見た人はこう言うかもしれません

「だったら声かけなよ。」って

でも恋などしたこともない私にとってそれはかなりのハードルの高さです。

なにより、さらにハードルを上げる要因は

彼は、彼は…


超絶『イケメン』で高身長、という高スペックの持ち主だったからです。


完全に私なんかが声を掛けれるような人ではありません。

何度かこのバスの中で

彼に告白をしてきた女性もたくさん目撃したこともあります。

ただ、その度に断っている姿も見てきたので

余計に私の片思いだけでいいという気持ちは強くなっていったのです。


「はぁ~」


私は高校前のバス停でいつものようにため息。


「私ってホント、どうしようもない…」


発車したバスをちらっと見てみると

私がついさっきまで座っていた所に彼が座っていた。


「はぁ~」


彼をただ見ただけでこれなのだから、恋の病というのは恐ろしい。

そう思いながら今日も学校へと歩んでいると

背中を軽く叩かれた後、大きな声が聞こえた。


「ため息つくたびに幸せが逃げちゃうぞ♪」


「うわっ! もう、驚かさないでよ那美なみ。」


彼女は五十嵐いがらし 那美なみ

この高校で一番の仲良しの女友達だ。

彼女はとても天真爛漫で、周りを常に明るくするとても魅力的な性格をしている。

ちなみに、悔しいことに彼氏持ちだ。


「はは~ん。 また、あの『イケメンくん』のこと考えてたんでしょ?

で、どうだったの? 今度こそ告白したの?」


「そ、そんなの出来るわけないじゃん! 私は、い、今のままでも十分なの!」


何度か彼の話題を那美と一緒にしたことがあるが、

このやりとりはいつもの事だ。


「はぁ~、智里じゃないけどこっちがため息ついちゃう。

ねぇ智里。 その『イケメンくん』とずっとず~っと本当に

ただバスの中で会った他人さんでいたいと思ってんの?」


「そ、それは…」


「私だったら耐えられない。 だから告白する。

もし失敗したら親友である智里に慰めてもらう。

まぁ、もっとも私は失敗しなかったけどねぇ~。

ちょっとは私を見習いなさい。」


「うっ、那美に言われると何も言えないよ。」


というのも、那美は実際に告白して成功させている。

私のように恋をし続けた結果、急に


『もう耐えきれない。 告白してくる。

失敗したら智里、慰めてね。』


なんて言って急にいなくなった事を思い出す。

その後の詳しいことはよくわからないけど、

今もその彼とラブラブぷりを聞くと告白もいいなとは思う。


「よし、決めた。 私、智里のために心を鬼にする!

もし、智里がその『イケメンくん』に告白をしなかったら

智里と絶交する。 もう二度と話ししない!

でもまぁ、智里だから猶予をあげる。

1週間。 1週間たってもダメだったら本当だからね。」


「ええええええっ!!!!」


こうして私は大の親友との友情をかけて

彼に告白することになったのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ