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傲慢ですが努力してるんで  作者: ぬぬぬ
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入学ですが当然なんで

第1話です!

はじめて投稿しますがこの「傲慢で努力している少年」という主人公はずっと温めていたネタです!

ぜひ最後まで読んでください!

「ハンカチは持った?筆記具は?入学のしおりは?入学式終わったら一端帰ってきてから寮だよね?」

「ちゃんと全部もってるよ、着替えとかは寮の部屋が決まった時に運んだから終わったらそのまま寮だよ」


母親からの心配をうっとおしそうにはねのける。

俺はこの春からアテアルパ国立護国学校へと入学することになる。


「じゃ、いってくるよ」

「ええ、いってらっしゃい。風邪と竜車には気を付けるんだよ」


母親との別れを済ませ、新入生用の学校からの迎えの竜車の乗り合い所まで歩く。

アテアルパの移動手段は基本的に竜車だ。馬に比べて馬力があるだけでなく戦闘能力、威圧も強いため危険な生物が住む場所も難なく通ることができるからだ。そして竜自体がとても高価であるためどれほどの大きさの竜か、どの種であるかなどでその竜を所有している者の財力を周りに示すこともできる。

しばらく進むと彼の周りには新品の制服を着た若者たちが増えてきた。それと共に様々な学校の竜車が呼びかけを行っていた。


「ヴァーザラ私立学校の方ーー・・・」

「ミエリシャス行きはこちらですー・・・」

「アテアルパ国立護国ーー・・・」


多くの竜車が並んでいる中でもひと際巨大な竜が引いている竜車の方から呼びかけが聞こえてきた。

学校名が聞こえた方ではすでに数人並んでいる。

そこに並び乗り込む順番を待つ。


「おめでとうございます。合格証明書をお見せください」

「はい」


鞄の中から証明書を出し提示する。


「ありがとうございます。あなたでちょうど最後ですのですぐに出発します。乗り込んでください」


乗り込み窓側の席に座る。竜車の中には同じ新入生が五人ほど座っていた。


「ねぇねぇ!すっごくおっきい竜だよね!六人しかいないのにおっきすぎじゃないかなぁ?」


後ろの席に座っていた女子が話しかけてくる。

全くの初対面のはずだが、と彼は記憶の中を探る。


「ごめん!名前いってなかったね!私エイア=セドクール、中等学校でも一緒だったんだよ!クラスは違ったけどね」

「そうか、俺はアスク=マルスギッド。アスクでいい」

「じゃ私もエイアでいいよ!」


自己紹介を済ませたところで竜車が進み始めた。窓の外を見ると景色が後ろへ流れるように移り変わっていく。その速さでも車内はほとんど揺れず立ち上がっても大丈夫なほどだ。


「アスクは何でこの学校に行こうと思ったの?」


いつの間にか隣に座っていたエイアが話しかける。少し窓側に身を寄せながら答える。


「俺のレベルにあったのがここしかなかっただけだ。別にどこだって良かったよ」

「へ~、私はねーここの魔術学科で勉強したかったからなんだ!アテアルパ護国の魔術はレベル高いし!もう必死で勉強したんだよ~」

「そうか」


特に興味もなさげに答える。


「アスクはどの学科を選んだの?」

「総合学科だよ」

「じゃあ魔術棟にも来るんだね!よろしくー!」


いえーい、とエイアは無理やり手を持ち上げハイタッチをさせる。うっとおしく思えてきたので窓の外を見ながら聞き流すことにした。


「それでねーー・・・あとねーー・・・」


彼女の話声をBGMに景色を眺めていると街を囲む防壁が見えてきた。アテアルパには危険な生物が住んでいる地帯が多くあり、そこから人間の住む場所へ迷い出てくるものも少なくない。その生物たちから街を守るために主要な街には防壁が築かれている。そしてここは首都アテアルパであり、多くの人が暮らしているため他の場所よりもはるかに高く大きな防壁が築かれているのだ。


「もう少しで到着です。お忘れ物の無いようお降りの際にはもう一度確認してから降りてください」

御者から声がかかる。

「うー!わくわくする~」


そわそわしているエイアを横目にやっと解放されるな、と思いながら荷物の再確認をする。

そして防壁を通り、民家を超えると見上げるような大きさの建物が見える。これこそがアテアルパ国立護国学校だ。学校の門の前で竜車は止まった。門の前には少し前に到着したであろう竜車が何台か止まっている。


「到着しました。外で引率の教員がいますので指示に従ってください」

「よーしっ!がんばるぞー!」


やる気満々という感じでエイアが飛び出していく。彼女が座っていた座席にはなにか小さな巾着のようなものが取り残されていた。最初は自分は関係ないという風に続いて降りようとしたが、やはり置いていけず持っていくことにした。降りてすぐ周りを見回すが新入生が多く見失ってしまった。


「新入生の皆さんはこちらに一列で並んでくださーい!全員揃い次第入学式会場へと移動しまーす!」


並び終わると数人の教員が一人ずつ名前と顔の照合を行い始める。そして最後尾まで確認し終わると列が移動し始めた。校門から外周を周り屋内実習場へと向かう。

実習場の入り口前に来ると二列に並びなおす。入り口が開放され中の様子が見渡せる。会場はあまりに大きな実習場の1/4のみを区切って使用してある。煌びやかな装飾で彩られその様子を見物しに精霊たちが天井近くを飛び回っている。来賓席にはこの国に生まれたならば誰もが知っているような特級魔術師、特級剣士が並んで座っていた。

新入生席に全員が座ると開会挨拶から始まった。そのあとは髭を蓄えた学校長の挨拶などが行われた。


「在校生代表、アルー=テクシス」


名前を呼ばれた女子生徒は返事をし、檀上へ上った。

この学校では毎年在校生代表、新入生代表の挨拶共に成績最優秀者が行うことになっている。在校生の場合それに加え国家間や学校内での大会などの成績も関係してくるためかなり難しくなる。


「入学おめでとう。初めての環境で戸惑うこともあると思う、そういう時には遠慮せずに我々先輩に頼ってほしい。この素晴らしい学びの場の中で共に成長していこう。」


言い終わると礼をし席に戻っていく。


「新入生代表、アスク=マルスギッド」


俺もまた返事をし檀上へと昇る。こちらに向って多くの視線が向けられるが、全く緊張はない。


「歓迎の言葉ありがとうございます。本日はこのように立派な入学式を行っていただきありがとうございます。我々新入生一同先輩方の胸を借りるつもりでこれからこの学校で精一杯頑張っていきます」


新入生の挨拶にしてはかなり適当なものかもしれないがそれだけ言うと礼をし席に戻っていく。

挨拶の後担任が紹介され、閉会挨拶が行われた。

その後教室へと移動し、クラスメイトと顔を合わせることになる。クラスの全員が席に着くと担任の教師が二人入ってきた。


「はーい!みんな初めまして。私はアトティア=アーティ。魔術の授業を担当します。気軽にアトティア先生って呼んでね!皆わかってると思うけど総合学科にはもう一人担任がつくことになってるの。ほら!いつまでも仏頂面してないで挨拶して!」


女性教師が男性教師を小突く。


「アーシラ=タナスカ。剣術を担当する。呼び方は好きにするといい」


確かに仏頂面のその教師は挨拶をした後またすぐに黙って生徒たちのほうを向く。

教師は両人とも国家間の大会でなんども報道されているような顔ぶれである。


「ここ、総合学科では魔術学科と剣術学科で別れる科目をすべて履修することになります。本来ならば魔術学科ならば三年間で魔術の科目を突き詰める、という風だけどここでは両方の学科の科目を同じ期間で突き詰めてもらいます。まぁ要するにかなりキツイってことね」


アトティアがそういいながら冊子を配る。


「大体の概要はそこに書いてあるわ、寮に戻った時にでも読みなさい。じゃ、私たちは一端教師陣と確認があるから離れるからその間クラスの交流を深めててね。戻ってきたら寮まで案内するわ」


彼女はそう言ってアーシラを引っ張って行ってしまった。かなりせっかちな印象だ。

担任達が教室から出ていくと教室内は話声でざわつき始めた。


「アスクくん・・・だったよね?」

「そうだけど、なんだ?」


隣の席になった眼鏡をかけた男子が話しかけてくる。身長は低めでなで肩、手首も細くあまり男らしいとは言えないなよなよとした感じだ。

かなり不愛想な答え方をしたが、俺にとってはこれが自然体なのだ。


「いや・・・自己紹介でもと思って・・・僕はアムル、アムル=イーアンス。ディアケレ地方から来たんだ」

「そうか」


特に興味も無いしこちらの名前を知っているなら答える必要もないだろう。


「あ!そういえば君新入生代表だった人だよね!」


しゅんと落ち込んでしまったアムルから視線を前方に戻すと前の席に座っていた女子が話しかけてくる。声が大きかったため他の場所で話していたクラスメイトが数人集まってしまった。


「アタシ、エイン=ヘーパヴィン。よろしくね!」

「そうか」


差し出された右手を無視しまた視線をずらそうとするが集まられているためにそれもできない。


「もー、もしかして人づきあい苦手なの?」

「まぁな」

「それにしてもすごいよね~、新入生代表なんて」


新入生代表は総合学科から選出される。というのも、そもそも総合学科に入るためには剣術、魔術共に試験を受け毎年10000人以上が受験する中上位500位以内に入る必要がある。そうして初めて総合学科への受験資格が得られる。そこからさらに剣術実技、魔術実技、総合科目筆記で上位40位の成績を取ったものが総合学科に入ることが許される。


「当然の結果に決まってるだろ、俺とお前らではレベルが違うんだから」


空気が凍り付いた。教室全体から何言ってんだこいつは、とふざけやがって、という視線が注がれる。机の周りに集まっていたクラスメイトはほかのグループに混じりひそひそと小声で話し始めた。


「アハハ!君面白いね!興味沸いたよ、いつまでその態度でいられるかずっと見てるからね!」


エインはひとしきり笑ったあとそう言って前を向いてしまった。


「ま、まずいよアスクくん」


アムルが慌てたように話しかけてくる。


「なにがだ」

「なにがだって・・・今ので絶対いろんな人に目付けられちゃったよ」

「それの何が問題なんだ?この教室の中に俺の脅威になるような奴がいるようにはおもえないが」

「ほら、あの人とか・・・」


小さく指さされた先を見てみると一人の男子がいる。かなり鍛えているようで制服は最大サイズであろうにもかかわらず腕や背中の形がはっきり出ている。少し見ていると目線が合いにらみつけられる。


「名門ハルワム家の跡取りのウルカくんだよ・・・1位ではなかったけどかなり上位の成績だったらしいんだ」

「1位じゃなかったなら俺より下ということだ。気にする必要はないだろ」


その言葉が聞こえたのかウルカが近づいてくる。


「どれだけ自信があるのかは知らないが少し失礼なんじゃないか?」

「自分より目上でもない力も下の奴に礼儀正しくする意味はないだろ?」


ウルカの額に青筋が走った。冊子を開きビシリとページに指をさされる。そこには新入生歓迎交流試合の案内が書かれていた。


「私はこれに出場する。そこで互いの力を確かめるのはどうだ?」

「・・・いいだろう、この学校全員に力を示せるしな」


承諾するとウルカは席に戻っていった。

そしてしばらくするとアーシラが戻ってきた。


「今から寮へ案内する。列を作りついてこい」


それだけ言うとさっさと出て行ってしまう。それに続いて生徒たちは続々と急いで出ていく。

魔術棟と剣術棟の間にある中庭を抜け寮の前の門へと向かう。途中魔術学科の列と剣術学科の列に合流する。


「おーい!アスクくーん!」


声の方向を見るとエイアが大きく手を振っていた。彼女は生徒の波にのまれながらこちらに向かってきた。


「ふぅ、すごい人数だねー」

「そうだな・・・そうだ、これ落としてたぞ」


ポケットの中から小さな巾着を取り出し見せる。


「わっ!ありがとー!無くしちゃって落ち込んでたんだー!」


輝くような笑顔を見せ喜んでいる彼女を尻目にさっさと進む。

門の前まで来ると寮母からの説明が始まった。


「新入生の子達だね、ようこそエイントリ寮へ。部屋番号と名前が書かれた表があるからそれを確認して生徒窓口で鍵もらってね。基本二人部屋、角部屋では一人部屋だよ!今日の夜は歓迎会だからそれまでゆっくりしてるんだよ!」


とりあえず表を確認する。するとそこには俺の名前の横にウカム=ハルワムと書かれていた。後ろから確認していたウカムを目が合う。露骨に嫌がっている。


「・・・よろしくな」

「ああ・・・」


お互い微妙な感情で話しかけあう。

ともに鍵を取りに行くと二人ともに一本ずつ鍵が渡された。

部屋に向かう時アムルと目が合うと気の毒そうにこちらを見ていて、なんだか切ない気持ちになる。

部屋は二人用だとしても十分に広く大きめのベッドが2つ用意してある。テーブルの上には俺とウカムの荷物が置いてあった。


「まぁ・・・同じ部屋になった訳だし・・・仲良くする・・・か?」


ここに向かうまでに全く目線を合わせようとしなかったウカムを見上げ話しかける。


「悪いが、試合が終わるまでは認める気にはならない。奥のベッドを使わせてもらうぞ」


そう言うとベッドに座りそっぽを向いてしまった。

荷物の整理が終わった後壁に掛けてあった時計で時間を確認する。

歓迎会までは2時間ほどあるので日課のトレーニングをするために運動着へと着替える。


「お前、それは」

「ん?ああ、悪いな。気分悪くしたか?」


ウカムは俺の上半身を見て目を剥いている。まぁ、仕方ないことだとは思う。俺の体のいたるところには長年の修行を示すケガの痕があるからだ。


「心配しなくていい、今はもうあんまり痛まない」

「ふん・・・」


またそっぽを向いてしまったのでこのままトレーニングへ出かけることにした。

外に出て、まずは柔軟体操から始める。体操によって筋肉をほぐす。これをしておかないとケガの可能性が高まるし、トレーニングの成果も落ちてしまう。

柔軟体操が終われば次は長距離走だ。今日からは校舎全体を囲んでいる防壁の外周を走ることにしよう。

街1つ分くらいなので俺にとっては3週ほどでちょうどいい距離になるだろう。走り始めると風が気持ちいい。ぐんぐんとスピードを上げると見えてくる、景色がどんどん流れ横に伸びていく様子は俺にとってリラックスすらできる光景だ。あまりにスピードを上げすぎたため3週走り切った時には体は燃えるように熱く、肩を上下させて息をしていた。三週にかかった時間は1時間ほどだ。


「思ったより時間かかったな・・・」


仕方がないのでメニューを変えて10分間上体起こし、10分間腕立て伏せ、10分間スクワットの順でこなすことにした。それが終わるころにはちょうど歓迎会まで30分ほどの時間だ。

終わった後そろそろシャワーを浴び、着替えて歓迎会の準備をしなければならないので部屋に戻るとウカムはすでに会場である寮の食堂に向かっているようでいなかった。シャワーを浴び終わり急いで着替え会場へと向かう。

会場の入り口は開いており中では多くの生徒が談笑していた。適当な席に座り取ってきた飲み物を飲んでいるとステージの幕が開き、在校生代表だったアルーの姿が見えた。


「新入生全員揃ったな、改めて自己紹介しよう。私はアルー=テクシスだ。在校生代表として少しだけ話しに来た。新入生諸君、この学校での学びは辛く厳しいこともある。だがそれを超えた先には大いなる成長が必ずある。この歓迎会はその一歩を踏み出した君たちを祝う会でもある。存分に楽しんでくれ」


挨拶が終わると同時に新入生たちの前には突然料理が現れ、歓声が上がった。食べてみればどれも美味しく、栄養のバランスも文句なしのものだった。


「料理おいしかったね!」


皆料理を食べ終え、部屋に帰る者も出てきて会場にいる人数が減ってきたころエインに話しかけられた。


「お前は部屋に戻らなくていいのか?」

「うん!お互いがんばろうねって言いに来ただけだから大丈夫!それじゃおやすみ!」


元気よく走っていく彼女を見送った頃にはもう会場にいる生徒は少なくなっていた。

もう時間も遅くなっているので部屋に戻る。

部屋に入るとウカムはベッドに寝転がり本を読んでいた。


「もうすぐ消灯時間が来る、早く寝る準備をしろ」


一応は待っていてくれたようでそれだけ言うとさっさと布団をかぶってしまった。

俺も同じく布団に入ると廊下から消灯時間を教えるベルの音が聞こえてきた。それを聞き壁についているくぼみに指を差し込み消灯、と念じる。その魔力を読み取り天井の光石ライトストーンが光を消す。入学式やらいろいろとあったので体は自分が思うよりも疲れているだろう。それに睡眠はトレーニングで傷ついた筋肉を修復するために必要なので目を閉じすぐに寝ようとする。すると案の定疲れていたようですぐに意識は眠気に負け沈んでいく。

いろいろあったが楽しくはなりそうだ、そんなことを考えながら俺は眠りについた。






読んで下さってありがとうございます。

第1話ではあまり傲慢な感じは出せてないかと思います。

読みにくかった、この辺の文おかしくない?ということがあれば感想で教えてください!

参考にしてもっと面白く書けるように頑張ります!

第2話もよろしくお願いします!

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